海外転勤の辞令は会社の中で英語力が高い人というわけではないということはよくあります。
私はフィリピンでUSCPAとしてコンサルタントをしていますが、周りにいる日本人の駐在員の方で英語が得意だからフィリピンに赴任したという方はほとんどいません。
皆さん英語力以外の部分で優れた部分があったからフィリピンに赴任されたように思います。
このように実際に海外に駐在している私から見ると、必ずしも「海外転勤者=英語力が高い人」というわけではなさそうです。
「TOEICの点数が高い=海外転勤で困らない」ではない!
英語力というと日本人の方はTOEICの点数が高い人という印象があると思います。TOEICの点数が高ければ海外転勤になっても英語で困ることはないのだろうと考えがちです。
ところが、そのようなことはありません。もちろんTOEICの点数が高い方がいいに越したことはありませんが、TOEICの点数が高いから英語で困ることがないかと言えばそれは絶対にありません。
私はUSCPAで大学生の時に受験したTOEICが850点くらいでした。
一般的にはTOEICで800点を超えていれば英語で困ることはないだろうと考えがちですが、フィリピンに赴任当初は英語が全く分かりませんでした。特に相手の言っていることが分からなかったのです。
当時の話は下記の記事を参考にしてください。
フィリピンで初日からトラブル!英語が英語に聞こえない!英語が理解できない!
あれから5年が経過して、今では100%相手の言っていることは分かりますし、相手が何を言うのか推測すらできるくらいにまでなりましたので、それなりに英語力は上がった(気がする)と思うのですが、これまでの間にTOEICの勉強など一度もしていません。
これはつまり、日常の中で英語にもまれることで実践的な英語力がついたからだと確信しています。しかし、これがTOEICという試験に対して正確な回答を導き出せるようになったというわけではないと思います。
英語力が上がったというよりは英語で生きていく術を身に付けた、といった感覚の方が強いですね。
TOEICはあくまで試験ですから正解があるのです。しかし実際の現場では正解などありません。ですから、「TOEICの点数が高い=英語力が高い=海外転勤で困らない」ではないということをまずは抑えておいてもらいたいと思います。
海外転勤に必要な英語力(参考:マレーシア出張体験談)
「TOEICの点数が高い=英語力が高い=海外転勤で困らない」ではないということを踏まえた上で、ではどのような英語力が海外転勤者には求められるのでしょうか。
これはズバリ自分が言いたいこと・伝えたいことを相手が理解できるまで伝え、相手が自分の希望通りの結果を出すという能力になります。
この目的を達成するための手段の一つとして英語力がある、という感覚です。
これにはネイティブのようなきれいな発音やビジネス英語などの格式ばった英語表現は一切不要です。あくまで相手に伝わって結果が出せればいいわけです。逆に言えば、いかにきれいな発音でかつきちんとした文法で話せたとしても、相手に伝わらずに結果が出ないのであればそれは何の価値もありません。
ですから海外転勤者は、「相手に伝わる英語力」が必要になるということです。
伝わる英語力というと何だか難しく聞こえますが、私が会社に入って初めて行った海外出張で衝撃的な体験をしましたので下記の記事を参考にしてください。「現実の海外転勤者の英語ってこんな感じか!」という感覚を持ってもらえると嬉しいです。大丈夫!あなたにも十分できます。
【これって英語!?】実はこんな英語で十分通じる!私の体験談を暴露します(先輩ごめんなさい!)
TOEICで身につく英語力
TOEICの点数と海外転勤に必要な英語力が必ずしも一致しないということは分かって頂けたと思いますが、ではTOEICが意味がないのかと言えばそんなことはありません。TOEICは英語の能力を測るための試験ですから一般的な英語力アップには効果があります。
ですから全体的な英語の基礎力の底上げにはとても良いと思います。ただし、点数向上を目的にするのであればそれなりに時間が掛かりますので即効性は見込めません。年単位での計画を以って進めていく必要があります。
ここからは私の意見です。
TOEICの特徴として時間の割に問題数が多いことが挙げられます。
これはつまり真面目に全部問題文を読んでいたら絶対に最後まで解き終わらないということです。そう、英語の勉強をしているのに読んでは負けとは何とも皮肉ですがTOEICは日常生活の中でいかに必要な情報を取捨選択できるかを問う試験ですので全部読んだら終わらないように作られています。ですから英語力というよりはいかに素早く設問で求められている答え(情報)を探し出せるかということを競う試験なのです。
TOEICの点数が高い人=大量の情報の中から素早く必要な情報を見つけられる人という感じですね。これを英語力があるというのかは正直微妙です。もちろんこのような能力も仕事では必要ですので勉強して損はありません。
私はUSCPAとして税務裁判などの裁判結果を英語で読み解く機会が多くありますが、このような場合は数十ページに及ぶ文章から、何が争点で、お互いの主張がどうなっていて、裁判所の結論がどうであったか、の3点をいかに素早く読み解けるかが課題となりますが、こういう場面ではTOEIC的な勉強をしておくと効果があるのだと思います。「要するにどういうことなのか?」がすぐにつかめた方が仕事が早くできますから。
海外転勤では実践的で実用的な英語力が必要
TOEICの点数向上に向けた勉強は決して無駄なものではありません。しかし、海外転勤者に必要な英語力がすばやく身に付くわけではありません。
海外転勤者は転勤日までに時間がありませんから、海外転勤時の英語力の不安を解消するには、もっと即効性があって、海外転勤したらすぐに使える実践的な英語力を身に付ける必要があります。
独学するよりも外部サービスを使った方が効率的に学習できるので、それは個人の志向に合わせて適切なサービスを選んで頂ければいいのですが、ポイントは「アウトプットに多くの時間を割く!」ということを強調しておきます。
TOEICの勉強はインプットの勉強が中心です。もちろんインプットがあってからのアウトプットですからインプットが全然ない方、少し赴任までに時間がある(半年~1年以上先)という方は少しインプットを勉強してもいいと思いますが、赴任まで3ヶ月を切っている方はインプットよりもアウトプットを重視してください。
アウトプットというのは今現在のご自身の英語をベースに、それを最大限活用することを目的とする勉強です。勉強というより実践的な訓練のことです。
野球の素振りは大抵の人ができると思いますが、実際にバッターボックスに立ってピッチャーが投げた球を打ち返すとなると頭では分かっていてもそれなりに訓練が必要ですね。それと同じです。頭で分かっていても実際に発信する訓練をしないと実践的な英語力というのは身に付かないものなのです。
いくら素振りの練習をしてても本番の試合で打てる自信を持てないでしょう。やはり、練習試合や実際にピッチャーに投げてもらってバットに当てる感覚を身に付けていないと自信を持つことは不可能でしょう。だからといって素振りに意味がないわけではないですよ。でも素振りだけではダメですという意味です。やはり練習試合とはいえ、実際のピッチャーから打ち返したことがあるという実績が自信につながり、その自信により本番でもヒットを打てるというものです。
ですから、個人的には短期間でもアウトプットであれば劇的に能力アップできると思います。なぜなら新しく取り入れることは必要なく、あくまで今現在手持ちの武器の活用方法を勉強すればいいだけだからです。逆に言えば手持ち以外の武器は使わなくて済むような作戦を考えるということです。
このあたりは独学よりもプロのコーチを付けて、自分に最適なプランを作って、最短距離で結果を出す方がいいでしょう。あまり時間をかけても仕方がないので短時間に集中してやっていきましょう!
外部サービスのまとめはこちらを参考にしてください。
【初めての海外赴任者必見!】英語力上達!キーワード別サービス比較表
まとめ:海外転勤者はTOEICの点数よりも実用的な英語力を身に付けて不安を解消しよう!
日本人はTOEICを崇拝している感がありますが、全否定はしないもののTOEICの点数を気にしすぎなくても大丈夫です。TOEICの目的が大量の情報の中から必要な情報を取捨選択できる能力を測っているのだと思えば目的に応じたTOEICの使い方ができるでしょう。
少なくとも海外転勤する方で仕事の現場で英語を使わなければならないということであれば、TOEICの勉強よりもアウトプット重視でガンガン訓練していくことを強くオススメします。
海外転勤日までの短い期間であっても効率よく訓練すれば十分海外転勤に必要な英語力は身に付けられますのであきらめずに着々と実際の海外転勤の日に備えてください!応援しています!
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