日系企業の海外進出が加速し、銀行も海外進出するようになりました。金融業は国によっては規制業種ですから、現地のパートナーとジョイントベンチャーを組んだり、現地に駐在員を送り込むなどして海外で銀行サービスを提供する必要性に迫られています。銀行マンが海外駐在するために必要なスキルとは何か考えてみます。
銀行員の海外駐在が増加中
世の中がグローバル時代に突入する中で日系企業は海外進出せざるを得なくなっています。日本では人口減少から生産者数が年々減っていることもあり、どうしても海外の安い労働力を活用しなければ国際競争に勝てない状況です。
海外進出するためにはたくさんのまとまったお金が必要になります。国によっては外国資本に規制が掛けられていますから、より多くのお金が必要になることが多いです。そんな大きなお金を動かしますから企業としては心配です。現地の銀行にお金を送金したところで、本当に大丈夫なのか不安になることもあるでしょう。現地でオペレーションを開始したところで、色々なトラブルや問題に遭遇します。現地の言葉や文化、慣習が分からない中では現地の銀行に相談するのも大変です。
そういったところに日本人の銀行マンのニーズが存在します。
私も海外駐在をしているので肌でよく感じますが、日本は特殊な国です。そのため日本人もある意味特殊です。だからなのかは定かではありませんが、大きな銀行や会計事務所、弁護士事務所などはどこも「ジャパンデスク」という部署を設け、日本人向け、日系企業向けにサービスを行うことが通例になっています。
冒頭で挙げたように、外資規制がある国は現地のパートナーとのジョイントベンチャーで進出するか、現地の銀行に出向者を送り込むことで日本人および日系企業向けにサービスを展開します。外資規制がない国の場合は独資で進出し、多くの日本人駐在員を置いてサービス提供します。
当然ながら日系企業の数が多くなればなるほどケアしなければならない企業数が増えますから、その分人手が必要となり、駐在員も必要になります。
こういったことから、海外に駐在する銀行員が増加しています。
海外駐在難民続出!誰も海外に行きたがらない現実
世界の生産体制、物流体制の変更により、日系企業の海外進出が加速しているため、海外での金融サービスが拡大している話をしました。
金融サービスの拡大と言っても、結局は人が動かしています。
私はフィリピンに駐在しており、現地の金融機関に出向されている日本人の方ともお話をさせて頂く機会が多くありますが、お金の相談はもちろん現地事情における相談が多いような印象です。日系企業の皆さんは生活を含めてかなり苦労されていることがうかがえます。そんな状況ですから困った時の駆け込み寺のような立ち位置として、銀行はとても大事な場所だと実感します。それも現地に日本人駐在員がいてくれるからこそです。単なる銀行という箱だけ存在しても中に誰もいないのであれば誰も訪れないでしょう。ですから銀行の駐在員はとても貴重な存在なのです。
ところが・・・
銀行の方に聞けば、今は中々海外に行きたいという銀行員が少ないといいます。
これだけヒト・モノ・カネが縦横無尽に走るグローバル時代に、海外とかかわらないで生きていくことはほぼ不可能です。日本は特殊な国ですから日本にずっと住んでいると日本の常識が染みつき、海外に出たときに大きなショックを受けます。それもすべて日本が特殊な国だからです。ギャップが大きすぎて耐えられないのです。しかしそうも言っていられません。今から鎖国するわけにもいきませんからあえて飛び込んでみる方が実はうまくいったりするかもしれません。
だからどんどん海外に出て日本との違いをガンガン感じた方が逆に日本の良さを知ることができたりもするのでとてもチャンスです。
海外に行く人材が求められているのに海外に行く人材がいない・・・。
銀行に限らず海外駐在員を置いているどこの日系企業に話を聞いても「人材が豊富で問題ない」なんていう会社はありません。皆さん人材で困っています。だからベテラン社員がさらにベテラン社員になり、それが10年、20年と長くなっているのです。20年選手と交代して後を継ぐなんて大変すぎます。引き継ぐにしても数年間は並走してもらう必要があるでしょう。どうしても跡を継いでくれる社員がいないなら、会社をたたむか、会社を売るしかなくなります。
せっかく海外に出てきて頑張ってきたのですから、なんとか事業を継続できるようにしてもらいたいと思いますし、それを聞いて「よし!自分がやります!」って言ってくれる日本人が出てくることが一番なのですが・・・。
企業の話に飛んでしまいましたが、結局銀行も企業も同じで、みんな駐在員不足で悩んでいるということです。
とりあえずだまされたと思って海外勤務を経験しちゃおう!
海外は日本とは全然違います。日本の常識は海外では非常識です。もちろん悪い意味ではないですが、日本がすごすぎるのです。細かすぎるというか繊細というかとにかくこだわりがすごいです。だからこそ”ジャパン・アズ・ナンバーワン”の時代を迎えることができたと思いますし、その精神、取り組み姿勢は世界でも評価されていることは間違いありません。メディア報道は置いといて、現地にいて日本人として尊敬の念を向けられたことは何回もありますが馬鹿にされたことはありません。まあ仕事しすぎて「仕事バカ」とか「ワークホリック」と言われたことはありますが・・・。でもそれは誉め言葉だと前向きにとらえています。要するに海外の人からすればクレイジーだと思われるくらい一生懸命なのが日本人なのです。こういう姿勢で働く日本人を目の前で見ることで、現地の人も「さすが日本だなあ」「こんなに頑張るから日本はすごい国になったんだなあ」って思ってくれるんです。そんな姿勢を見ることで自分たちも頑張れば日本みたいになれるのかもと思って頑張ってくれたらこんなに嬉しいことはありません。
こんな発見があることも海外で働く醍醐味でしょう。日本にいたらみんな普通に残業してるし、一生懸命働くなんて当たり前なのでまったく評価されませんので・・・。
前段で言った通り、駐在員の需要に対して人数が全然足りていません。大きな銀行はまだいいですが、地方銀行などの場合は駐在員は1名しかいなかったりします。1名で日本全国のその銀行の顧客を担当するんですよ!もう衝撃的です。フィリピンに駐在していたその地銀の方とは仲が良かったので色々話をする機会がありましたが、平日は朝から猛烈に仕事、昼間は顧客訪問、夜は顧客と会食、そして自分の仕事は会食後という感じで休む暇がありません。その上、土日は顧客とゴルフ、場合によっては日本から偉い人が出張してくるので、空港へのお迎えから観光案内、ゴルフ、会食とその人にとってはお休みなのに終日付き添いだそうです。そして帰国するときも空港までお見送り。そして極めつけがちゃんとその搭乗した便が空港から離陸したかを見届けてから空港を後にするそうです。もしなにかトラブルがあって、飛行機が飛ばなかった時のことを考えて飛行機が飛ぶまでは気が抜けないんだとか。
日本の銀行マンのすごさを肌で感じた瞬間でした。
みんな本当にすごいです。どうも日本から見ている人からすると、何をしているのか分からないので仕事してないんじゃないのかとか、ずっとゴルフしてていいなあみたいなことを言われるようですが、私の知る限りまったくそんなことはありません。むしろプライベートの時間がなさすぎて本当に気の毒です。
しかし逆に考えれば、こんな経験は日本にいてもできません。だって銀行の頭取とかが出張にくるんですよ。日本にいたら写真でしか見たことないような人が自分を頼って出張に来るんです。しかも自分のサポートがなければ何もできませんから強制的に一日中一緒にいるわけです。こんな経験は駐在員でなければあり得ないでしょう。そういう特別な経験ができることも駐在員の魅力です。
どうですか?明日にでも駐在員になりたいと思いましたか?
その気持ちはとても大事です。人生勢いは必要です。私も勢いでフィリピンに移住してしまったのですが勢いで移住してよかったと思います。考えたら行動できなかったと思います。ほとんどの人から反対されましたから。しかし自分の人生です。人生は一回です。ぜひ一度の人生を有意義にするために一度くらい勢いで行動してみてもいいでしょう。ダメだったらまた戻ればいいだけです。その失敗は一生の宝物です。
私がフィリピンに移住した時の話は以下を参考にしてください。
【海外移住】USCPA取得をきっかけにフィリピンに移住してみたら人生が変わった
とはいえなにもない中で海外駐在するのも気持ち悪いですし、やっはり不安なのは分かります。そこで海外駐在する前に身に付けておいた方がいいスキルを紹介します。
海外駐在前に身に付けておくべきスキルはこれ!
前段で現地の具体的な事情を紹介しました。かなり身近に駐在員の生活ぶりがご理解頂けたと思います。お察しの通り、駐在員は求められる仕事の質や量に比べて、圧倒的に人数が少ないです。ということは、自分の業務範囲というのは必然的に広がる傾向にあります。つまり、駐在員になるということは、オールラウンダーにならざるを得ないということです。しかし、当然ながら自分で全部なんでもこなすなんて無理ですよね。そこで銀行マンの駐在員がやることというのは、顧客の話を聞き、内容を理解し、どこの誰に相談したら顧客の悩みを解決できるのかを瞬時に見極める能力だと思うのです。
銀行マンは基本的には自分のやっている業務のことしか分からないのが普通です。それは相談を持ち掛けている企業の人も十分わかっています。しかし話せる相手、相談相手が銀行マンしかいなかったりするのです。銀行マンは企業によく出入りをしていますから、その企業がやっていること、会社の雰囲気、社員などのことを誰よりもよく分かっています。もちろんその会社の社長さんともよく話をしています。だから社長さんからすれば自分のことををよく分かってくれている人である銀行マンに色々相談したいものなのです。だからその銀行マンに知識がないことは分かりつつも相談しちゃうものなんです。
しかし、相談される銀行マンは困ります。社長さんからの相談です。難題ばかりです。会社の人事のこと、税金のこと、労務のことなど経営者が抱える問題は多岐に渡ります。もちろんお金の問題も。そしてそれぞれがとても重要な課題です。
それらを一気に銀行マンにぶつけられるわけですが銀行マンとしては適当にやり過ごすわけにもいきません。
ではこのような場合、どうしたらいいのでしょうか。銀行マン自らスーパーマンにならなければならないのでしょうか。
私個人の意見はスーパーマンにならなくてもいい、ということです。
ではどこまでできればいいのか。それは「その問題や課題を誰にぶつけたら解決してくれるのか」を知っておくことです。法律の相談はよくあります。しかし法律といっても多岐に渡ります。料理の相談といっても、フレンチシェフと和食のシェフは全然違います。同じように法律と言っても会社法なのか労働法なのか税法なのか同じ法律というくくりでも分野がありますからそれぞれだれに相談すればいいのかを知っておくことが大事になるのです。
そしてなにより、それは法律の問題なのか、それとも運用の問題なのかなど問題の論点を事前に整理できる能力が必要です。
ある程度法律を調べたりもするでしょうから専門的な用語を含む英語の能力は必須です。
ここまでわかったら銀行マンのコネクションから適切な人を選び出し、その専門家につなげるのです。それぞれ専門家はいますから、専門家への橋渡しができれば銀行マンとしてはOKです。もちろんそこまで能力があるなら、ある程度の課題であれば自分でも解決できることでしょう。
上述に挙げた能力を磨いていないと、相談を受けたはいいけれどどうしていいのかわからなくなります。そして結果的にパンクしてしまいます。
ですからこれから海外駐在する銀行マンにはぜひこれらの能力を身に付けておいてもらいたいと思います。
一朝一夕で身に付けることはなかなか大変ですが、資格を使って勉強するのが早道でしょう。
まずは資料を取り寄せて内容を確認してみてください。
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海外駐在できるチャンスがあるならとりあえずチャレンジしてみましょう。
肌に合わなくても元に戻ればいいだけです。マイナスにはなりません。
海外駐在後のキャリアで悩む場合はコンサルに相談してみましょう。
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