海外転勤と聞いてどう思いますか。
「やったー!海外生活だ!」
と思う人もいれば、
「なんだよ・・・海外かよ、英語話せないし、外国文化アレルギーだし、嫌だなあ。はあ・・・」
って思う人もいるでしょう。
海外転勤に対するイメージは人それぞれです。
しかし海外転勤を命じられた場合は、ポジティブにとらえてもネガティブにとらえても、どっちにしても海外転勤するしかないので、だったらつらく、苦しい海外生活よりも、楽しい思い出に残る海外生活にした方が人生お得になります。
私は2015年からフィリピンに駐在して、USCPAとして日系企業経営のお手伝いをしてきました。
これまで多くの日本人駐在員との出会いを通して、海外転勤生活がうまくいっている人と、なかなな苦労されている人にそれぞれの特徴がなんとなく見えてきました。
そんな私の経験から今回は海外転勤を充実した生活にする7つのポイントを紹介します。
海外転勤を命じられて数ヶ月後に渡航を控えている方や、海外転勤に興味がある方に参考にしてもらえたらと思います。
海外転勤生活を充実させる7つのポイント(要約)
最初に7つのポイントを並べます。
【その1】海外生活を楽しもうとする心構えを持つ!
【その2】日本とは違うことを受け入れる!考えてはいけない!
【その3】その国、その土地の良い面を見るようにする!頑張って探す!
【その4】できそうならとりあえずやってみる!
【その5】ダメそうならすぐやめる!無理はしない!
【その6】仲間を持つ!でも無理はしない!付き合う人は選ぶ!
【その7】事前に英語を勉強しておく!発信力重視で!
下記に順番に解説します。
【その1】海外生活を楽しもうとする心構えを持つ!
精神力や気合いの力を嫌う人もいると思いますが、「病は気から」という言葉もあるように、やはり人間である以上は気持ちの持ち方が人生を決めると言っても過言ではありません。
海外転勤で充実した生活を送っている方は、やはり何に対しても楽しもうとする心構えでいるような気がします。
海外ですから当然ながら日本のようにすべてが順調にいくわけではありません。
むしろ順調にいかない、うまくいかない、思った通りにならないことの方が多いです。
それらも含めて「勉強だ」と思い、謙虚に学び、違いを楽しむ心の余裕を持つようにしましょう。
この心構えが全てのスタートであり、これ以降の土台になります。
【その2】日本とは違うことを受け入れる!考えてはいけない!
海外生活を楽しむ心構えを持ったところで、次は「日本との違いを受け入れる」ということです。
前出の通り、海外では日本で生活していた通りにはいまくいきません。
むしろ日本が便利すぎるので、海外に来て日本より便利だと感じる方が珍しいです。
日本でできていたことが海外でできないからと言って、それらにイチイチ文句を言っていたり、怒っていては身が持ちません。
ですから、日本での出来事は一旦忘れて、目の前の現実を受け入れることから始めることです。
ここは考えはいけません。
無条件でまずは受け入れてください。
最初は辛いです。
本当に大変です。
些細なことにイチイチ文句を言いたくなります。
愚痴が出ます。
しかし!ここはぐっと我慢。
ここは海外です。日本ではありません。
でもそうこうしているうちに人間というのはすごいもので、そのうち慣れるんです。
まずは3日間、耐えましょう。
歯を食いしばりましょう。
次は1週間。その次は2週間。また次は1ヶ月。そして次は3ヶ月。
ここまでくればもう慣れたと思います。
日本とのギャップの調整完了といったところでしょうか。
このようにまずは全部受け入れる、考えずに、全部、丸ごと。
そして3日から始めて3ヶ月まで伸ばしていく。
このように期間を区切ってやってみるのはオススメです。
時間というのは永遠ですが、それを人工的に「区切る」のです。
時間を人工的に区切ることで気持ちを切り替えることができるのです。
ダラダラと時の流れに身を任せるよりは効果があると思うので、ぜひやってみてください。
3ヶ月後には少しはイライラが収まっていると思いますよ。
あきらめの境地、悟りの境地に到達しているかもしれません。
海外転勤生活に順応している人は、大体このあきらめの境地、悟りの境地に到達しています。
まさに僧侶の世界、修行の世界、精神と時の部屋での修行を終えた孫悟空の境地です。
とりあえず3ヶ月!頑張ってみましょう。きっと見えてなかったものが見えるようになりますよ。
【その3】その国、土地の良い面を見るようにする!頑張って探す!
心構えを正しくセットし、3ヶ月間踏ん張って日本とのギャップを受け入れる、順応する。
ここまでは大変つらいです。
ここで脱落してしまう駐在員もいます。
でもここを乗り換えたらかなり成長しているはずです。
そして次は赴任先の良い面を見ることです。
「そんなもんねーよ!」
この態度は許されません。
どんな国や土地であっても必ず良い面があります。
どんな国であっても歴史があります。
昨日今日ポコッとできたわけではないわけです。
そこには何百年何千年という長い間、人が住んでいるわけです。
そんな長い間生き延びてきたのです。生き延びることは簡単ではないはずです。
しかし、現代まで生き延びてきているのです。
ということは、そこにはその国なりその土地固有の生き延びるためのスキル、術、知恵があるはずなのです。
そのスキルや術、知恵は日本人にはおかしなものに見えるかもしれません。
しかし、その国、その土地においては一定の合理性があるはずなのです。
その土地には必要なモノだったのです。
ですから、反射的に拒否したり、怒ったり、文句を言う前に(言った後でもいいですけど)、なぜそうなっているのか(日本人には非合理と思えるようなことがまかり通るのか)、それらを自分で考え、分析して、自分なりに結論を出す訓練をするといいでしょう。
このように日本人には信じられないような習慣や風習だって、その国、その土地では国家を生き延びさせる、国民が生存していくためには必要だった可能性があるのです。
それらは実は日本人には欠けている、日本人が見習うべき習慣や風習が含まれているかもしれないのです。
そうやって考えていけば、反射的に怒る前に、「ちょっと待てよ。ここでは○○の歴史があるから○○をやるんだな」って冷静に物事を見て判断できるようになります。
どんな国、土地であっても必ず良い面があります。
見つからないのはあなたの分析が足りないのです。
もっとよく見て見ましょう。
そして頑張って見つけてみましょう。
そうすればあなたの怒りや不満も少しは和らぎますよ。
私が住んでいるフィリピンの例で、私が直面していることについて簡単に紹介します。
フィリピンには、多くの貧困層と呼ばれる人たちがいます。
私は会社から徒歩5分圏内に住んでいますので、通勤は徒歩です。
通勤路に毎日必ずと言っていいほどホームレスの人に出会います。
お金をくださいと言われます。たまに数人に囲まれて無理矢理取られそうになったこともあります(←これはホームレスというより強盗ですね)。
これは私が直面しているフィリピンの嫌な部分です。
ビジネススーツを着た外国人が目の前を通ればそりゃお金を持っていると思われるでしょう(実際には貧乏生活でも(涙))。
しかし、よく見て見ると、そのホームレスの目の前に置いてある紙コップに小銭が入っているんです。
たまにご飯も置いてあります。失礼ながらとても自身で購入できる量でも質でもないものです。
私にはこれが不思議でした。
そこでよく観察していると、他のフィリピン人がお金をあげたり、ご飯を買ってきて渡したりしているではありませんか!
これには驚きました。日本ではこれは自治体の人やボランティアの団体がやっているだけで、一般の見知らぬ人がやっているのは見たことがありません。
調べてみると、フィリピン人には「バヤニハン(Bayanihan)」という伝統的な慣習があることに行きつきました。
日本語にすれば、相互援助の精神、簡単に言えば助け合いの精神、という意味です。
つまり、お金がある人がお金がない人を支援する、ということです。
これはなんとも素晴らしい考え方です。
この考え方があるからこそフィリピン人は貧しくても何とか生きていけるのです。
これがフィリピンの伝統的な考え方でフィリピンの良い面です。
しかし、これがコインの表裏の表です。
当然コインの裏もあります。
貧しい人がいても周りの人が何かと助けてくれる(家族とか血のつながりとか関係なしに助けてくれる)ので、それを享受する人が「誰かがご飯やお金をくれるからこのままでもいいや」ということでいつまで経っても自立できないのです。
当人にも自立するインセンティブ(動機)がないのです。だっていつも何だかんだで誰かが助けてくれるんですから。
これに加えて周りの人が何とかするものだから政府も動いてくれないのです。
このようにバヤニハンの精神が良い面を持つ反面、その人自身の自立阻害、政府の堕落を引き起こしているともいえるのです。
日本なら困窮した人は知らない人にお金を融通してもらったりご飯をねだるより、政府に生活保護を申請するでしょう。
国民の生活は政府が保証する義務があるからです。
フィリピンはこれを民間レベル(個人レベル、それも通りすがりの人たちがやってくれている)でやってしまうので、政府が怠けるのです。これだから貧困率が低下しないんです。
このように、日常生活で「あれ?変だなあ」とふと思うことから、歴史をさかのぼったり習慣を見てけば、必ず良い面と悪い面を見つけられるでしょう。
良い面をダイレクトに見つけられたらそれでいいし、逆に悪い面を見つけたらそのコインの表を見に行けば良い面が見つけられます。
必ず物事はコインの表裏でできています。
どちらかの側が見えれば、その裏(表なら裏、裏なら表)を見つけることは簡単ですね。
【その4】できそうならとりあえずやってみる!
さて、ちょっと長くなってしまいましたが、どんどんいきます。
駐在先の良い面は見つけられましたでしょうか。
見つかったら素晴らしいです。
今度はそれを自分でも実践してみましょう。
もちろんなんでもかんでもやればいいというわけではないです。
自分が「これならできそうだ。やってみようかな」と思えることから少しずつ始めればいいのです。
要するに、その土地に「馴染む」ステージです。
日本との違いに文句を言っていたステージから、現地に合わせるステージに移行したということです。
ただ、現地に合わせると言っても日本人である以上、限界もありますから無理はしないでOKです。
自分が気持ち悪くない範囲で、できるだけ合わせればいいのです。
ここでの無理は禁物です。楽しむつもりでやってみるのがコツです。
楽しめない、苦しい、つらいのであれば、その行為は今の自分には少しハードルが高すぎるのかもしれません。
無理せずもう少しハードルを下げて挑戦してみましょう。
【その5】ダメそうならすぐやめる!無理はしない!
今まで大変だったことでしょう。
心構えから入り、実際に行動するステージまで紹介してきました。
しかし、ここまできてもどうしてもできない、受け入れられないこともあります。
それはあなたが日本人だからです。
日本人の精神を捨ててまで相手に合わせる必要はないです。
だからどうしても無理、これを受け入れてしまうと自分が自分じゃなくなる、そういうものは拒否してOKです。
やらなくていいです。
ダメならあきらめていいんです。
無理は禁物です。
その前に十分努力していることが大前提ですが、その上で無理ならバサッとあきらめましょう。
このようなセイフティーガード(安全策=心の余裕)を自分の中で設けておくことはとても大事です。
海外では自分の身は自分で守るのが基本です。誰も守ってくれません。
味方はいないと思ってください。
信じられるのは自分だけです。
「これは無理!」
そういうものはさっさとあきらめてOKです。
この心の余裕があなたの心の支えになり、結果的にあなたのキャパシティを広げてくれることでしょう。
【その6】仲間を持つ!でも無理はしない!付き合う人は選ぶ!
これも要注意点です。
海外で日本人に会うとなんとなく安心しますよね。
レストランで日本語が隣のテーブルから聞こえてきただけで、なんとなく仲間意識が生まれて話しかけたくなります。
しかし!ちょっと待った!です。
海外には日本人はたくさんいます。
しかし、ジャパンタウンって聞いたことありますか?
チャイナタウンは聞いたことありますよね?
神奈川県の横浜にもありますね。中華街という名前ですが・・・。
フィリピンにもチャイナタウンはあります。
シンガポールにもチャイナタウンがあります。
しかし、ジャパンタウンってないんですよ。
これが全てを物語ってます。
そう、中国人は海外では助け合うんです。
同じ同胞として生きる知恵を共有するんです。
だから自然と仲間が集まってそこが結果的に「タウン」になるんです。
中国人は先輩が後輩にその土地で生きる指南をするみたいですね。
そして中国人ネットワークができあがり、いつのまにかレストランや物流網まで完備されていくんです。
こうやって中国人は中国人同士で助け合うことで海外でも生き延びていけるわけです。
しかし、日本人は・・・。
そう、これは私が尊敬するオノウチさんに聞いた話です。
日本人は海外だと同胞を騙すんですね。
だから、海外では外国人に対する警戒心よりもむしろ、日本人に対する警戒心を引き上げないとダメなんです。
ですから、日本人だからというだけで付き合うのはある意味危険です。
身元がしっかりした人と付き合うようにした方がいいでしょう。
そういう方であれば、きっとあなたと同じ悩みを抱えている、もしくは抱えた過去があるはずです。
そんな仲間は多ければ多い方がいいです。
その方に友達を紹介してもらうなど、泥臭いかもしれませんが、お友達経由でお友達を探すのがいいと思います。
そんな私も2015年にフィリピンに移住してきたときは、右も左も分かりませんでした。
そこで、知り合いになったある日本人の人から別の知り合いを紹介してもらったり、ゴルフに誘ってもらってゴルフの集まりに参加させてもらってそこで交友関係を広げていったりしました。
その方は既に日本へ帰任してしまいましたが、駐在中は何も知らない私を毎週色んな所へ連れて行ってくれて、接待の時に使うレストランはここがいいとか、焼き肉ならここがいいとか、駐在員としてのまさに生きたノウハウを色々叩き込んでくれました。
今でも私がたまに日本に帰った時は日本でお会いしますが、当時のことは感謝してもしきれないくらいです。
なぜこんなに私に親切にしてくれたかというと、その方も別の方に同じように駐在したての頃はお世話になって経緯があったからのようです。
先輩が後輩を指導し、後輩が先輩になり、また後輩を指導する。
ここでの先輩後輩は年齢は関係ありません。先に駐在した人が先輩、後に駐在を開始した人が後輩です。例外はありません。
海外駐在員はこのように日本人というキーワードで会社は違えど同じ同胞として助け合って生きているのです。
ですからあなたも駐在したら同じような悩みや境遇を抱えている(抱えた経験がある)仲間を持ってください。
その方々も同じ経験をしているためとても親身になってくれるはずです。
だって同じつらい経験をしているのですから話が通じないわけがありません。
その方だって同じ境遇を話せる人がいた方が心強いでしょう。
ですから、あなたは一人で悩みを抱えて、一人で苦しむ必要はないのです。
同じ境遇や同じ心境の人は必ずいます。ぜひその人にアプローチできるよう前を向いて生きていきましょう。
【その7】事前に英語を勉強しておく!発信力重視で!
やっぱり外国と日本で一番の違いと言えば言葉です。
現地の言葉ができればそれはそれでいいのですが、概ねビジネスでは英語です。
世界共通語と言ってもいいでしょう。
国ごとに特色はありますが、日本で学習した英語なら十分通じます。
英語はできなくてもなんとかなる面もありますが、やはり精神衛生上、英語はできた方が楽です。
この「英語ができる」というのはとても曖昧なので、なにをもって「英語ができる」という状態なのか自分で明確にしないといけません。
なぜなら言語の学習というのは基本的に終わりがないからです。言葉は生き物なのでどんどん新しい言葉や言い回しが生まれています。そして古い言葉は消えていきます。
だから自分で「ゴール=ここまで行ったらいわゆる”勉強”はやめる」という目標を持たなければそれこそ一生勉強する羽目になります(もちろん一生勉強するんですが、勉強のための勉強は受験勉強のように期間を区切るべきなのです)。
実際に2015年からフィリピンに駐在している私からすれば、これは「自分の言いたいことを伝えきれる英語力」と定義したいです。
詳しい解説は別の記事でしているのでここではあえて解説はしませんが、海外生活では発信力が何よりも大事です。
しかし、日本の英語教育は目的の違いから、どうしても情報収集力(インプット力)に主眼が置かれてしまっているので発信力を強化する訓練はほとんど積めていないのが問題です。
今の教育では少しは方向転換しているようですが、それでも全然足りないのです。
ですから、海外転勤する方で英語を勉強しようと思っている方は、下記に焦点を当てて勉強してください。
1.アウトプット力(自分が言いたいことを言える能力)
2.自分の英語力に対する自信を持つ(あきらめの悟りを開く。恥ずかしい思いからの脱却)
海外駐在員としはこれだけあれば十分です。
あなたは英語のプロになることが目的ではないはずです。
ビジネス(本業)で成功すればいいだけです。
そこには英語のプロという肩書は不要です。
泥臭くていいんです。
下手な英語でも誰も気にしません。
日本人なんですからネイティブのように話せなくて当然です。
仕事が進めばそれでいいのですから、英語を勉強するなら目的を明確にして、かつゴールも明確にしてから取り組んでください。
英語学習についてはまとめ記事を参考ください。
【英語学習の進め方を解説します】海外転勤者が行うべき英語学習手順
まとめ:折角の海外生活。思い出に残る最高の人生の1ページに!
いかがでしょうか。
どうしたら海外生活を充実させることができるか少しでもヒントになることがあったらうれしいです。
折角の海外転勤だから楽しく過ごしたいですよね。
日本と違う環境だから大変、大変って言ってても何も変わらないので自分が変わるしかないんですよね。
それなら現地に合わせにいくのが最適解です。
でも無理はしないでいいです。
できることをできる範囲でやればいいんです。
そしてそのレベルを少しずつ引き上げていく、少し背伸びしてみる。
一気に背伸びしたら筋肉が断裂します。
少しずつがポイントです。
ぜひ前向きな気持ちを持って、楽しく充実した海外生活にしてください!
応援しています!
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