USCPAのフィリピンライフ
給与/年収

経理の年収アップは今の作業の先にはない現実【日々の努力を無駄にしないために】

経理は年収が低く年収アップを狙いたい経理職の方が多いですが、コツコツ真面目に作業をこなした先に年収アップの未来はないのが現実です。経理が大幅に年収アップを狙うには経理の作業から離れることです。それができなければ年収が少しでも高い会社に転職を繰り返すしか道はありません。あなたはどちらの道を選びますか?

経理の年収が低い理由

経理は専門職であるにもかかわらず、年収が低いと感じている経理職の方が多いのではないでしょうか。

他の職種との単純比較は難しいですが、私が実際に経理職で10年ほど経験した実感から言えば、会社への貢献度からすればあまり評価されていないというのが感想です。

実際経理職の努力はすさまじいものがあります。

体力&知力は最強レベルです。

上場企業の経理であれば、3ヶ月に一回は投資家への発表のために決算があります。

徹夜は当たり前です。

残業は当然毎日ですが、あまりにもタクシー帰り(片道15,000円!自腹!)が多かったので、マンスリーマンションを自分で借りて少しでも睡眠時間を確保しなければ昼間眼を開いていることも難しい時もあったくらいです。

ゴールデンウィークに一年間で最大に忙しい時期が来るので、ゴールデンウィークを楽しんだ記憶はありません。

なのに会社から評価されないというのは非常に残念なことです。

その理由は経営者の視点に立てば分かります。

端的に言えば、経理という仕事は会社全体から見たらコストだからです。

通常経理が頑張っても収入や売上にはなりません。

であれば、できるだけコストは低く抑える方向に圧力がかかってしまうのです。

これは経理職が頑張っているとか頑張っていないとかそういう個々の努力とはかけ離れたところで、会社全体の中で果たす経理という一部の機能としての位置付けなので、経理で働いている人にはどうしようもありません。

経理の年収アップは今の作業の先にはない

経理職の方は真面目で几帳面な方が多いです。

そのためにコツコツ仕事を頑張れる人がたくさんいます。

むしろそういった性格の持ち主でないと経理という仕事は務まらないとも言えます。

しかし、そのコツコツ真面目な作業の先に大幅な年収アップの未来はないのが現実です。

私も新卒で会社に就職し、経理部にてコツコツと作業をこなしくていくことが正として教えられました。来る日も来る日も同じ作業を淡々とこなし、とにかくルーチンワークをミスなく、遅滞なくこなすことが大事だと教わりました。そしてその努力の先に年収アップの未来があるように刷り込まれました。

しかし、究極的にはこれは嘘です。

ルーチンワークをこなしていくことで、作業に対する慣れが生じます。
慣れが生じると、今までよりも短時間でミスなく作業をこなすことができるようになります。

これを専門用語で「Learning Curve(ラーニングカーブ)」といい、作業量に比例して業務効率が徐々に向上していくことを指します。

このLearning Curveで得られた効率化の分を超えない範囲でその人の給与がアップするという仕組みになります。

つまり、今まで100本の取引入力に1時間かかっていたところを、30分でできるようになったら同じ1時間で200本の取引入力ができるようになる、ということです。

作業効率が2倍になったので、会社への時間貢献度も倍になっているため、その貢献度を超えない範囲で給与をアップさせることは会社として可能ということです。

これが経理職の給与アップの基本的な考え方となります。

しかし、よく考えてみればこの論理で給与アップが決定される場合、必ずどこかで頭打ちになります。

人間の作業スピードをベースに考えている限り、必ず限界があるからです。

だからこそ今の仕事をそのまま単純に真面目にコツコツこなしていっても、どこかで人間の限界にぶち当たるので、それ以上は給与アップできなくなるのです。

これが今の作業の先に年収アップの未来はないという意味です。

作業効率が今までと変わらないなら、会社への貢献度も変わりません。

会社への貢献度がそれ以上変わらないなら、会社側の論理としては給与アップするメリットはありません。結局経理職の人件費はコストでしかないからです。これは悲しいですが現実です。

そして経理職はある程度の経験は必要であることは事実ですが、真面目にコツコツ作業をこなしていけば、ある程度の領域までは達成できるので、そこまで高額報酬を提示しなくても労働市場で代わりを見つけられるということも経理職の年収が上がらない要因でもあります。

派遣社員の方でも左手でものすごいスピードで電卓をたたきながら、右手で計算結果を入力していくような私から見たら離れ技を繰り出す方もいますので、そういった経理業務に精通した方と比べられると作業効率面ではどうしても見劣りしてしまうケースも少なくなりません。

あなたは経理の専門職に進みますか?それともマネジメント職に進みますか?

真面目にコツコツと作業をこなすことが意味がないと言っているわけではありません。

コツコツと作業をこなすことはとても大事なことですし、経理という仕事の基礎でもありますので、そこを飛ばすことには賛成しません。

しかし、コツコツ作業をこなしていれば給与が上がっていくというわけでもないことも同時に認識しておかなければなりません。

コツコツ作業した先の給与アップは、自分の会社への時間当たり作業貢献度や作業効率向上率を天井にした、わずかな年収アップにとどまります。

経理未経験者や新卒で経理部に配属された初心者クラスの経理職の方は、作業をこなせばこなすほど必ず作業効率は向上するので、しばらくは少しずつ年収は上がっていきます。

しかし、ある程度作業効率の限界を迎えた経理職の方は、そのまま作業をコツコツ続けていても年収アップは望めません。

ここでさらなる年収アップを狙うためには2つの道しかありません。

一つは経理の専門職としてのスキルを磨いて経理職を極める道です。

もう一つは会社全体から経理職を考えられるマネジメント職の道です。

順番に深堀します。

スペシャリストや専門職としての経理職。一つのことを追求する職人を目指す方はこちら。

経理は専門職です。

経理はどこの会社でもありますから、食いっぱくれることはありません。

作業をこなした先に見える年収アップは上述した通りですが、専門職であれば、例えば以下のことができるようになると、コツコツによる貢献度から一気に飛躍できる可能性があります。

作業の自動化
人の手を排除するプロセスの導入
足し算ではなく、掛け算の発想による業務スピードアップ
AIやソフトウェアなどの仕組みを導入

これらは一例にすぎません。

これらが実現できれば作業効率が飛躍的に向上しますので、コツコツ積み上げ型の貢献度より大きくなります。その分会社も給与アップしやすくなります。

こういったアイデアを出せるようになるためには、日々の作業の中で色々と疑問を持つことが大切となります。

この作業めんどくさいなあ。
なんでいつも残業してるのかな?早く帰れる方法はないものか?
この作業はそもそも必要なのかな?
もっと単純にできないものか?

そしてアイデアを出せたところで解決策というか提案もセットにしなければ会社は見向きもしてくれませんから、そのために経理の仕事について体系的にかつ深く理解している必要があります。

そのために助けになるのが、資格等の学習です。

簿記(経理の専門職を目指すなら日商簿記1級を目指す)
公認会計士
税理士
中小企業診断士
米国公認会計士(USCPA)
ITパスポート

簿記や公認会計士は分かりやすく、経理職の方が目指すべき資格ですが、実はITの知識も大事です。

ITの力を利用することで人間の作業限界を突破できるからです。

ですから、経理職の方はIT(情報処理)の知識も忘れてはなりません。

虫の目より鳥の目。会社全体から見た経理機能を考えるマネジメント職を目指す方はこちら。

経理のスペシャリストになることで大きく年収をアップさせることが可能です。

経理のスペシャリスト以上に年収を大幅にアップさせることができる道はマネジメント職です。

経理の専門職はあくまで経理という組織というか経理という箱の中での話になります。

その箱の中のトップというか特別な存在を目指すということでした。

しかし、会社には経理という箱以外にも営業部門や生産部門など様々な箱があります。

それらも全て見据えた上で経理という箱をどうしていくかを考える仕事がマネジメント職です。

単純化すれば、「そもそも経理っていう箱はうちの会社に必要なんだっけ?」という疑問から始まります。

必要ないという判断なら、経理という箱をなくすという意思決定を検討することも有り得ます。

必要だというなら、どんな機能を持たせるか、どんな役割や会社への貢献を期待する部署にするかといった経理という箱の会社に対する機能について定義するところから考えます。

最初に記載した通り、本来経理という箱は会社ではコストになります。

会社の一つの大きな目的は、「利益を追求すること」ですから、その利益の追求のためには、コストをできるだけ低く抑えるということは必須の検討課題となります。

そうなると、経理という組織そのもののあり方から考えられる人が必要であり、それは経理の仕組みや機能、業務の中身を知っている人が適任となります。

このように、大幅な年収アップを狙うには、矛盾するようですが、経理の作業から離れることが必要です。

むしろ、経理作業を減らして、経理に関わる人員数を減らして、それでもなお同じ成果を上げられるような仕組みを作って運用し、かつそれを継続できる人のみが年収アップを果たせるということは非常に大事な点です。

ですから、経理で大幅な年収アップをしたければ、マネジメント職を目指して、経理の仕事から離れるために経理の仕事をすることに尽きます。

マネジメント職には細かい経理の知識や技術は特段必要ありません。

ですから、経理の知識はあった方がいいですが、なくても十分仕事はできます。

細かい経理の知識より、会社を上から見た時の経理の役割を考えられるような視点や、そこに携わる従業員の気持ちを理解できるような能力が必要です。

また、マネジメント職は常に最悪を想定して経営を行っていくことが欠かせません。

私も小さいながら40名ほどの会社を預かっていますが、毎日ドキドキしながら仕事しています。

例えば以下の内容などは常に気にしていることです。マネジメント職に就かれるのであれば考えざるを得ないようなことです。

検討事項

明日従業員が誰も来なかったらどうするか?
明日従業員が全員辞めたらどうするか?
今日震度7の地震がきて、オフィスで仕事ができなくなったらどうするか?
会計システムが突然止まったらどうするか?
会計システムにサイバー攻撃が仕掛けられて、会計データが全部消えたらどうするか?
経理部のベテランや職人が退職したらどうするか?
経理部員に気持ちよく働いてもらうためにはどうするか?

これら短期的な視点、長期的な視点の両方を持って、これらに対する対処方法を常に自分の中にアイデアとして持っておき、できれば緊急事態に当たっては会社の中で非常事態オペレーション手順として認識を共有しておいたり、定期的に訓練したり、状況に応じてそのオペレーション方法を見直したりする必要があります。

まさに小学校の時に行った避難訓練のようなものです。

こうした常に最悪を想定したリスク管理もマネジメント職の大事な仕事の一つです。

【まとめ】専門職は転職で年収アップを。マネジメント職は会社全体を考えて仕事することで年収アップを実現せさよう

経理はどこの会社でも通じるスキルが身に付く”潰しが効く仕事”であることには間違いありません。

しかし、コツコツの先にある作業効率アップに依存した年収アップではどこかの段階で頭打ちになってしまうことが否めません。

従って、経理で年収アップを目指すには、徹底的な専門職、スペシャリストとしての経理職人を目指すか、経理を土台にした経理という箱を飛び抜けてマネジメント職を目指すかの2つしか年収アップの道はありません。

どちらの道も素晴らしい道ですし、どちらの道も正解です。

さあ、あなたはどちらの道を選びますか?

ABOUT ME
ようちゃん
こんにちは! 本ブログの運営をしているようちゃんです。 学生時代は部活(水泳部)とバイトに明け暮れ、勉強はほったらかし。大学4年生の時に就活しながら1年生と授業を受ける講義もあり、リクルートスーツを身にまとったおっさんは新入生に白い目で見られながらもなんとか卒業にこぎつけた。 英語が好きだったこともあり、将来はなんとなく海外で働いてみたいなあとぼんやり思っていました。 そこで、大手総合商社を中心に、海外駐在できたり、世界を飛び回れる仕事をやらせてもらえそうな会社を選んではひたすら受けまくりました。 運よく海外に拠点を広げ続けている上場企業の商社に入社できました。 入社前の先輩社員との懇談会で台湾やイギリスなどに駐在経験があった社員から海外駐在時の話を聞くことができ、自分も同じようなキャリアを描けるのかもと社会人人生を楽しみにしていました。 しかし、配属先は経理部に。経理なんてなにをする部署なのかもわかっていませんでした。一体いつになったら海外に行けるのか。そんな不安とともに社会人生がスタートしました。 結局新卒から10年ほど上場企業の正社員として経理部で働きました。その間に紆余曲折がありながらもUSCPA(米国公認会計士)のライセンスを取得。 当時の後輩がインドに赴任したことをきっかけにバックオフィス周りの指導やサポートを行っていました。その後輩は営業経験しかないのに、インド法人を丸ごと任されてしまい、営業以外の仕事をどうしたらいいのか困っていました。私は営業はできませんが、経理を中心とした事務系の仕事はある程度アドバイスできました。当時としては大したサポートにはなっていなかったとは思いますが、それでもとても感謝されました。 そこで思いました。 海外に出ている日本人は同じように困っているに違いない。それなら今の会社だけでなく、たくさんの会社をサポートできるかもしれない。 このインドに放り込まれた後輩をサポートしたことがきっかけで、自分の人生設計を見直した結果、上場企業の正社員という安定した地位を捨て、2015年に突然フィリピンに移住し、海外コンサルタントとして働き始めました。給料が日本にいた時の3分の1近くになって嫁に怒られ、嫁ブロックにあいながらも何とか凌いでいます。 私の予想通り、海外に出た日本人の駐在員は困っていました。 そこで海外コンサルタントの出番です。 日本の常識は海外ではなかなか通じません。 とは言っても、日本のやり方でビジネスを進めていく必要がある場面もたくさんあります。 だからこそ海外コンサルタントは必要なのですが、少子化のせいなのか、若者の海外離れのせいなのか、海外コンサルタントは圧倒的に足りません。 あなたのサポートを待っている企業が必ずあるはずです。 本ブログを通じて、少しでも海外コンサルタントに興味を持ってもらい、海外コンサルタントの世界に参加してくれる仲間が増えてくれれば、駐在している国はもちろん、日本も元気を取り戻してくれることと確信しています。 ぜひ仲間になりましょう!