USCPAのフィリピンライフ
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英語ができないのに海外赴任になるのはなぜか?【海外コンサルタントが語る】

最近は日系企業もグローバル化時代の流れに乗って、海外進出するケースが増えてきました。海外に出て行くということは海外人材が必要で、毎年の人事異動が気になる方も多いでしょう。そんな中でも英語ができないのに海外赴任を命ぜられるケースが多いように思います。これについて海外赴任している体験から分析してみます。

海外赴任で英語ができないとどうなるか?

海外赴任で英語ができなかった人の末路を紹介します。

これは私が2015年からフィリピンに駐在し、実際に出会ってきた何百人もの駐在員の中での一例です。

海外赴任生活がつまらなくなる
仕事でイライラする機会が増える(→会議時、トラブル発生時)
なぜ海外赴任したのか分からなくなる
仕事を続ける理由を見失う
夢(理想)と現実の違いを認識する
家から出られなくなる
鬱になる
途中で帰任することになる

実はこれらは私が一緒に働いていた日本人の部下にも起こったことでした。

私の部下はこれまで3名いました。

そのうちの一人は同じような体験をし、結局日本へ帰国してしまいました。

しかし、その私の部下は英語は普通よりもできていました。

英語の発音やアクセントも上手でした。

逆に、英語はそこまでできなかったもう一人の部下は、苦労はしていたと思いますが、結果的に楽しく仕事をしていました。

つまり、英語の良し悪しで駐在生活が大きく左右されるということはなかったということです。

ですから、英語ができないからといって、それほど心配する必要はないです。

【真実】海外赴任では英語力よりも大切なことがある

私の海外赴任経験を通して、声を大にして言いたいことがあります。

それは、海外赴任では英語力よりもずっと大切なことがある、ということです、

それは以下です。

順応力
適応力
周りとうまくやっていく能力

実は英語力よりもこれらの能力の方が数倍大切です。

海外赴任に選ばれた方は概ねこれらの能力が高い方だと思います。

少なくとも会社はそういう判断、見方をしているはずです。

もしあなたが英語力がそれほどないのに海外赴任に選ばれたとするなら、きっとそれはあなたなら、その国でなんとなくうまくやっていけそうな気がする。そういう能力がありそう、と会社に判断されたということです。

自信を持ってください!

私は2015年からフィリピンに駐在し、海外コンサルタントをしながら多くの駐在員を見てきました。

何人もの日本人をフィリピンに迎え入れては、多くの人を日本へ見送ってきました。

そんな中で英語力が決め手で駐在員になった人をほとんど見たことがありません

数百人の駐在員にお会いした経験からしても、英語が堪能だった人は1人しか知りません。

その方は幼少期にアメリカで過ごされたいわゆる帰国子女でした。

実際に赴任された方に話を聞いても、なぜ自分が選ばれたのかさっぱり分からないという人ばかり。

でも私には分かります。

それは、なんとなくこの人なら海外でもへこたれずに頑張ってくれそうだ、という感触が会社にあったからです。

言語を超えたところにある「なんとなく大丈夫そう」といった総合評価だと思われます。

海外赴任とはいえ、赴任した先にあるのは普通の人間社会です。

肌の色や、文化、言葉は違えど、同じ人間が普通にそこで暮らし、生活し、仕事をしています。

駐在員はそんな日本とはまったく環境の違う場所に放り込まれるのです。

そこで生き残っていくには、やはりその社会、そこでの人間の営みに順応できるか、自分を合わせられるかということにかかっているのです。

これができなければ、いくら英語ができたところで決して暮らしていけないものです。

逆に言えば、英語ができなくとも、なんとか順応しようという意思や努力が見えれば、そこは人間同士、いろいろな助けが舞い込んでくるものです。

そういう意味では、英語力という表面的な形よりも、ここで生活していくんだ!という「覚悟」がなによりも求められますし、それが早く海外赴任生活を軌道に乗せるためのキーポイントと確信します。

興味がある方はこちらの記事も参考にしてください。

海外転勤者で英語ができない人の末路

【これって英語!?】実はこんな英語で十分通じる!私の体験談を暴露します(先輩ごめんなさい!)

【実態】実際の駐在員は海外赴任後に英語を身に付ている事実

英語力が海外赴任に選ばれる決定的な要素にならないことは理解頂けたと思います。

では駐在員は英語ができないのか。

実はそんなこともないのもまた事実です。

確かに皆さん海外赴任当初はほとんど英語はできなかったし、英語ができるという自信を持っている人もほとんど見たことがありませんでした。

しかし、1ヶ月、3ヶ月、半年、1年と時間が経過していくうちに、みるみる英語が上達していきました。

最初は日本語の通訳を通して現地の社員と会話していた方でも、そのうち通訳を通さずに自分の口から直接伝えた方がお互い楽だということに気が付き、決して上手とは言えないものの、自分の口から自分の英語できちんとコミュニケーションが取れていることが確認できます。

皆さんが想像するいわゆるペラペラではないけども、しかし日常生活から仕事に至るまで不自由ないくらいの英語力は身に付けてきたことがよく分かります。

なにより最初は英語を発することも億劫だった方が、1年も経てば立派に英語で恥ずかしがることもなく、レストランの店員や会社の従業員と会話しているのです。

ということで、私の結論は単純で、最初は英語ができなくて海外赴任に不安を抱えていた方であっても、とりあえず駐在を開始して、日常生活をなんとか頑張っていれば、そのうちなんとなく必要な英語力は自然に身に付きます、ということです。

ほとんどの方は海外赴任後に海外赴任に必要な英語力を身に付けているということが真実かと思います。

赴任前にやること

駐在員のほとんどは、海外赴任後に英語力を身に付けています。

しかし、楽々と英語ができるようになったわけではないことは見逃せません。

日常生活を送っていく中で自然と英語が身に付いたことは事実ですが、できなかったことができるようになるということはとても大変なことです。

そこで、その苦労を少しでも軽減したいと思う方もいることでしょう。

そういう方は海外赴任前に、以下の練習をしておくことをお勧めします。

下手でも何かを英語で発するトレーニングを積む(アウトプット重視)
簡単な英語(単語とフレーズ)は身に付けておく
英語に触れる時間を長く持つように意識する
会話の練習をしておく

日本人の方がもっとも苦手とする分野が、「自分から発信すること」です。

英語が上手でも下手でもあまり関係ないのですが、発信するか発信しないかでは英語の上達が大きく変わります。

日本の英語教育はとにかくインプットに力が注がれています。

つまり、単語、熟語、文法、読解、リスニングといった学習です。

日本人が英語力を測る上で重要視している英検やTOEICなどもこれらに関する設問ばかりです。

これはこれで大事なのですが、海外赴任となると話は変わります。

海外赴任で大事な英語力は、圧倒的にアウトプットです。

つまりライティング、スピーキングです。

日常生活は、仕事も含めてこの2つの活動が大半を占めます。

インプットも大事なのですが、海外赴任では瞬発力が求められるので、いかに手持ちの札からより適切なカードをすばやく繰り出せるかがポイントです。

なので、辞書などを使っている時間はありません。

自分の知っている単語や熟語を使って、言いたいことを表現する力が問われるのです。

要するに、相手に自分が言いたいことが伝わればいいので、「どう言ったら伝わるか」を意識してトレーニングすることが大事です。

このようなトレーニングがきっと海外赴任後に活きてきます。

トレーニングを積んでおきたい方は、ぜひアウトプットを意識した練習を心がけてみてください。

外部のトレーニングも活用したい方は以下の記事を参考にしてみてください。

赴任中に意識すること

いざ海外赴任が開始されても、海外赴任前とやることは同じで、アウトプットを意識することです。

海外赴任が始まればいくらでも機会がありますので、最初は積極的に自分から発信してみるようにしてください。

店員に商品の値段を聞いてみる、店員にオススメを聞いてみる、など簡単な会話でかつ相手が答えやすいネタが有効です。

失敗しても気にする必要はありません。

なぜならここは”外国”だからです。

あなたが心配になるほど相手は気にしてませんので、気にするだけ無駄です。

なんども同じ質問をしていれば、そのうち慣れてきますし、相手の反応も読めてきますので、切り返し方を変えてみたり、追加で別の質問をしてみたり、バリエーションを増やしていきましょう。

なにより大事なことは、相手が言っていることが分からなかった時にはっきりと、「なにを言っているのか分かりません」と伝えることです。

恥ずかしいことではありません。

英語なんだからしょうがないです。

そうしたらきっともっと簡単な言い回しで言ってくれることでしょう。

早口で分からない場合は「もう少しゆっくり話してください」と伝えればOKです。

個人的には5回くらいは聞き返してOKです。

それ以上になるときっとあなたの英語力が足りないので、諦めて勉強しましょう。

こういうやり取りがなぜ大切か。

それは、海外では言葉そのものよりも、現地とかかわりを持つことがなによりも大事だからです。

自分が相手に興味を示せば、向こうから近づいてくれるものです。

相手はしょせん同じ人間です。

気持ちが大事です。

気持ちは伝わるものです。

あなたの上司がアメリカ人になって、同じように一生懸命日本語で話しかけられたらどうですか。

下手な日本語だな~と思う反面、頑張ってるな~と思うのではないでしょうか。

決して嫌な気持ちはしませんよね。

海外では相手はそういう気持ちで、あなたを暖かい目で見てくれているものです。

まずはそれに甘えながらも、そのひと時の会話を楽しめるようになりましょう。

失敗してもしょせんは”外国”だから。

全然大丈夫ですよ。

とにかく小さな成功体験を何度も重ねることで、自分の引き出しは増えるし、アウトプットに抵抗がなくなってくるはずです。

そうなったら海外赴任は楽しくなりますよ。

まとめ:自信を持って!あなたが海外赴任者に的確だと会社は信じています

いかがでしたでしょうか。

今は英語ができないと思っていても、実際に海外赴任すればなんとかなる。

そう思って頂けたらとてもうれしいです。

安心してください。

会社は英語力だけを見てあなたを海外に赴任させるわけではありません

自信を持ってください!

でも自分の身の回りの生活を快適にするために、英語はできた方が自分が楽になるので、無理のない範囲で楽しく英語学習を進めてみてください。

応援しています!

ABOUT ME
ようちゃん
こんにちは! 本ブログの運営をしているようちゃんです。 学生時代は部活(水泳部)とバイトに明け暮れ、勉強はほったらかし。大学4年生の時に就活しながら1年生と授業を受ける講義もあり、リクルートスーツを身にまとったおっさんは新入生に白い目で見られながらもなんとか卒業にこぎつけた。 英語が好きだったこともあり、将来はなんとなく海外で働いてみたいなあとぼんやり思っていました。 そこで、大手総合商社を中心に、海外駐在できたり、世界を飛び回れる仕事をやらせてもらえそうな会社を選んではひたすら受けまくりました。 運よく海外に拠点を広げ続けている上場企業の商社に入社できました。 入社前の先輩社員との懇談会で台湾やイギリスなどに駐在経験があった社員から海外駐在時の話を聞くことができ、自分も同じようなキャリアを描けるのかもと社会人人生を楽しみにしていました。 しかし、配属先は経理部に。経理なんてなにをする部署なのかもわかっていませんでした。一体いつになったら海外に行けるのか。そんな不安とともに社会人生がスタートしました。 結局新卒から10年ほど上場企業の正社員として経理部で働きました。その間に紆余曲折がありながらもUSCPA(米国公認会計士)のライセンスを取得。 当時の後輩がインドに赴任したことをきっかけにバックオフィス周りの指導やサポートを行っていました。その後輩は営業経験しかないのに、インド法人を丸ごと任されてしまい、営業以外の仕事をどうしたらいいのか困っていました。私は営業はできませんが、経理を中心とした事務系の仕事はある程度アドバイスできました。当時としては大したサポートにはなっていなかったとは思いますが、それでもとても感謝されました。 そこで思いました。 海外に出ている日本人は同じように困っているに違いない。それなら今の会社だけでなく、たくさんの会社をサポートできるかもしれない。 このインドに放り込まれた後輩をサポートしたことがきっかけで、自分の人生設計を見直した結果、上場企業の正社員という安定した地位を捨て、2015年に突然フィリピンに移住し、海外コンサルタントとして働き始めました。給料が日本にいた時の3分の1近くになって嫁に怒られ、嫁ブロックにあいながらも何とか凌いでいます。 私の予想通り、海外に出た日本人の駐在員は困っていました。 そこで海外コンサルタントの出番です。 日本の常識は海外ではなかなか通じません。 とは言っても、日本のやり方でビジネスを進めていく必要がある場面もたくさんあります。 だからこそ海外コンサルタントは必要なのですが、少子化のせいなのか、若者の海外離れのせいなのか、海外コンサルタントは圧倒的に足りません。 あなたのサポートを待っている企業が必ずあるはずです。 本ブログを通じて、少しでも海外コンサルタントに興味を持ってもらい、海外コンサルタントの世界に参加してくれる仲間が増えてくれれば、駐在している国はもちろん、日本も元気を取り戻してくれることと確信しています。 ぜひ仲間になりましょう!