フィリピンの課題

フィリピンで必要なのは一般的な教育ではない。道徳教育である。

フィリピンはいつか爆発的な経済発展をする。そう言われて既に何年が経過してきたのだろうか。

私がフィリピンに赴任してきたのは2015年だが、その頃からフィリピンは年率6~7%のGDP成長率を達成しており、街中は活気づきまさに経済成長真っ只中の空気だった。日本で長く暮らしていた私はその空気感の違いに驚いたものだ。

日本では毎日1時間以上電車に揺られ、朝は常に満員。ほとんどの乗客は朝なのに疲れ果てて寝ているか、スマホでゲームをしている。すがすがしい朝でエネルギーに満ち溢れているはずの都会の朝はなぜかよどんだ空気で重苦しい雰囲気であった。

そこからジャンプしてフィリピンに来た途端、雰囲気が全然違った。路上には物売りが溢れ、朝から元気に商売。知らない人でも人が通れば元気に挨拶してくる。行き交う通勤者もみな笑顔で足取りは軽い。まさに「ああ、これから発展することを予感しているんだなあ」と思わせてくれる空気であった。

そんなフィリピンでありながら、なぜか近隣諸国から頭抜けることができない。年率GDP成長率は文句なしだ。米国の統治下にあった歴史から学校教育は英語で実施され、教科書も英語だ。だから英語は一般的な教育を受けている人であれば日本人は自由に使いこなせる。

スペイン統治時代には富裕層も作られたため、お金持ちも一定数いる。それは日本では想像できないほどのお金持ちである。そのような富裕層の子供は米国や欧州に留学し、最高レベルの教育を受けてフィリピンに帰国する者もいる。

そんなフィリピンなのに、外国からの投資が増えていない。フィリピンの経済発展、フィリピン国民の生活向上のために投資促進をお手伝いしている私の身からするととても歯がゆいものがあるのだが、難しい話はシンクタンクや研究機関にお任せするとして、実体験からこの原因を考えてみたい。あくまで私見なので参考までにお願いします。

ゴミを路上に捨てる人々

日本ではポイ捨てと言ったりする。私はポイ捨てが大嫌いだ。なんだか自分の部屋にゴミを投げ入れられている気分がする。日本人の皆さんならどう思うだろうか。小学校、いや幼稚園で、家庭でも「ポイ捨て禁止!」と口を酸っぱくして言われてきたことと思う。もちろん違反する人はいるのだが、それでも「ポイ捨てする人=常識がない人」くらいの白い目で見られるであろう。また、それが抑止力の働きをしており、社会全体で監視している効果もあろう。もちろん日本人がきれい好きということもあるだろうし、そもそも公共の場、みんなの共通の場を個人が汚すということを良しとしない文化もあると思う。自然を守らなきゃ、とか環境破壊は良くない、と言った言い方もあろう。このように色々な形でポイ捨てにブレーキがかかる仕組みが日本にはあるように思われる。

ところが、フィリピンではポイ捨てしても誰も何も言わない。そして掃除する人もいない。汚いから心理的にさらに捨てやすくなってどんどんゴミが貯まる。そしてそのゴミが雨で流れ、排水溝に詰まる。そして排水が流れなくなり、環境が悪くなる。

さて、排水がきちんと流れなくなった原因は何か。

当然ながら「ポイ捨て」である。だからポイ捨てをなくさない限りこの問題が解決に向かわない。

ところが、この事象に対して政府役人はどういう見方をするか。

実際の意見はこうだ。

排水処理施設が古いからだ。もっと排水処理ができる施設に変更するべきだ。

排水が流れないのはゴミが排水溝を通過しないからだ。それはプラスチックのビニール袋が問題だからだ。

こうきた。

もちろん全く的外れではないと思うし、それもあるだろう。しかし根本はそもそもゴミを道に捨ててしまう人々の習慣、考え方である。そしてそれをある意味許容してしまう社会である。

そもそもゴミを道に捨てなければ、ゴミで排水溝が詰まることもないし、どんなに古い排水施設だったとしても詰まらなければそれほど問題にならないはず。

しかし、フィリピンの場合は何度となくこのような感じで、根本原因ではない部分から手を付けようとする。これによって余計にお金が掛かったり、不便になったり、問題が先送りになったりするのである。

今回の例では上述の影響で、買い物袋となっていたプラスチックのビニール袋が廃止されてしまったために、紙袋に変更されてしまった。紙袋なら水に浸ればバラバラになって流れるからということなのだろうが、いやいやそこじゃなくって・・・と突っ込みたくなった。しかも!これは一部の市レベルでの話だけであり、隣町はそうでもなかったりする。私からしたら単に不便になっただけであった。しかしこれがフィリピンなのである。

道徳教育の充実を望む!

政府役人は当然ながらみなそれなりに教育は受けてきた人たちである。だからいわゆる学校で勉強した”教科”はそれなりに学習してきたはずである。フィリピンの教育者であってもそれなりの教育を受けているためそれぞれの”教科”ごとの教育レベルが低いとは到底思えないのだ。

しかし、道徳教育のような人間としてどうあるべきなのかという教育がきちんと行われているのかは私には分からない。各教科の教育は素晴らしい労働者になるためには良い方法かもしれないが、それらの教育は道徳教育の上に築かれなければ意味を成さないように感じる。

そもそもの話であるが、日本人からしたら「ポイ捨て=いけないこと」であると教えられているが、フィリピンでは違うのだろうか。そうだとしたらさらに根が深いが、しかしそれが正だとすれば現在の状況はなるべくしてなった結果ということもできる。

私はどちらが正しくてどちらが間違っているということはできない。私の感覚はあくまで私が受けてきた教育や環境によって形成されたもので、もしそれとは逆の環境に置かれていたら当然その逆の方が正しいと思っていたに違いない。だから肯定も否定もしない。

しかし、もしフィリピン人の皆さんが、ゴミを道に捨てるのは良くないことであるという感覚が一般的な感覚として持っているということであれば、「ゴミを道に捨てるとどうなるのか」ということを想像する機会を与えるような教育を、学校はもとより、地域、家庭、教会などを通じて行っていけば、少しずつ意識は変わっていき、そのうち、「ポイ捨て=悪いこと、恥ずかしいこと」として自らゴミを捨てることはなくなると思っている。

このサイクルが定着すれば、町は自然ときれいになっていき、そのきれいさを維持していこうという方向に向かうはずである。

どのような国を目指すのか、これはあくまでフィリピン人の皆さんの意思に掛かっている。私のような外国人がとやかく言う話ではないが、フィリピンの国の良さを知っている私だからこそぜひいい国にしていってもらいたいと思っている。

頑張れ、フィリピン!

ABOUT ME
ようちゃん
こんにちは! 本ブログの運営をしているようちゃんです。 学生時代は部活(水泳部)とバイトに明け暮れ、勉強はほったらかし。大学4年生の時に就活しながら1年生と授業を受ける講義もあり、リクルートスーツを身にまとったおっさんは新入生に白い目で見られながらもなんとか卒業にこぎつけた。 英語が好きだったこともあり、将来はなんとなく海外で働いてみたいなあとぼんやり思っていました。 そこで、大手総合商社を中心に、海外駐在できたり、世界を飛び回れる仕事をやらせてもらえそうな会社を選んではひたすら受けまくりました。 運よく海外に拠点を広げ続けている上場企業の商社に入社できました。 入社前の先輩社員との懇談会で台湾やイギリスなどに駐在経験があった社員から海外駐在時の話を聞くことができ、自分も同じようなキャリアを描けるのかもと社会人人生を楽しみにしていました。 しかし、配属先は経理部に。経理なんてなにをする部署なのかもわかっていませんでした。一体いつになったら海外に行けるのか。そんな不安とともに社会人生がスタートしました。 結局新卒から10年ほど上場企業の正社員として経理部で働きました。その間に紆余曲折がありながらもUSCPA(米国公認会計士)のライセンスを取得。 当時の後輩がインドに赴任したことをきっかけにバックオフィス周りの指導やサポートを行っていました。その後輩は営業経験しかないのに、インド法人を丸ごと任されてしまい、営業以外の仕事をどうしたらいいのか困っていました。私は営業はできませんが、経理を中心とした事務系の仕事はある程度アドバイスできました。当時としては大したサポートにはなっていなかったとは思いますが、それでもとても感謝されました。 そこで思いました。 海外に出ている日本人は同じように困っているに違いない。それなら今の会社だけでなく、たくさんの会社をサポートできるかもしれない。 このインドに放り込まれた後輩をサポートしたことがきっかけで、自分の人生設計を見直した結果、上場企業の正社員という安定した地位を捨て、2015年に突然フィリピンに移住し、海外コンサルタントとして働き始めました。給料が日本にいた時の3分の1近くになって嫁に怒られ、嫁ブロックにあいながらも何とか凌いでいます。 私の予想通り、海外に出た日本人の駐在員は困っていました。 そこで海外コンサルタントの出番です。 日本の常識は海外ではなかなか通じません。 とは言っても、日本のやり方でビジネスを進めていく必要がある場面もたくさんあります。 だからこそ海外コンサルタントは必要なのですが、少子化のせいなのか、若者の海外離れのせいなのか、海外コンサルタントは圧倒的に足りません。 あなたのサポートを待っている企業が必ずあるはずです。 本ブログを通じて、少しでも海外コンサルタントに興味を持ってもらい、海外コンサルタントの世界に参加してくれる仲間が増えてくれれば、駐在している国はもちろん、日本も元気を取り戻してくれることと確信しています。 ぜひ仲間になりましょう!