フィリピンに来たことがある人はお分かりと思うが、フィリピンではインターネット環境があまりよくない。インターネットのみならず、普通の電話回線もよいとは言えず、普通に通話しているだけでも、途中でプツッと切れることは日常茶飯事だ。
これが結構困ったことで、日本では電話の途中で切れることなど有り得ないので、お客さんからは「わざと切ったのか」と誤解を生むことがあって困っている。そりゃそうだ、日本で普通に電話しているときに切れることなど自分から切らない限り発生しないのだから。
まあ、そういう日本では有り得ないことがフィリピンではよく起きるのだが、今回はインターネットの環境について書いてみたい。
いつも辛口なので、今回はデータだけ載せたいと思う。あとは皆さんの考えを巡らせてほしいと思う。
フィリピンのインターネット環境
世界85ヶ国中、第66位
◇ネット通信の価格
◇ネットの品質
◇電子インフラ
◇電子セキュリティー
◇電子政府――の5項目を評価。
首位はデンマーク、東南アジアではシンガポールが12位となり、域内トップ。フィリピンは価格が82位(下から4番目)。
品質は77位。ダウンロードの遅さや安定性に欠けると指摘を受けた。
英領バージン諸島に拠点を置くプライバシー保護ソフトウエア開発会社サーフシャークが調査した2020年版「デジタル・クオリティー・オブ・ライフ指数」による。
なるほど、現状はこれで分かる。前評判通りである。
そうとなれば、これはビジネスチャンスだ。ということでこんな発表があった。
共用通信塔の建設または運営には情報通信技術省への登録が必要。
現在は海外企業を中心に24社が登録。
新たに13社から登録の申請あり。
9月4日付ビジネスワールド
なるほど、これはいい傾向だ。どんどん通信塔を建てて、通信速度を上げてほしい。
これらを管轄する情報通信技術省から下記のコメントが飛び出した。
情報通信技術省は1つの基地局に対し通信サービス加入者1,000人が理想的だが、フィリピンでは7,000人になっている。今後7~10年以内に、5万カ所の共有通信塔の設置を目指す。
ビジネスワールド
そうかそうか、基地局の数が全然足りてないじゃないか。だから通信が遅いんだ。では至急基地局を沢山作って基地局あたりのサービス加入者を減らしていけばもっとスムーズにつながるってことだ。
ではぜひガンガン基地局を作ってほしい。新規通信塔設置事業者も続々と手を挙げている。コロナ禍で人があまり外出していないこの時期はある意味チャンスだ。仕事がない人に仕事を与えることもできるし、通信速度も上がるし、みんなハッピーだ。さぞ政府も総動員で基地局設置に動いてくれることだろう。
と、思っていた時にこのニュース。
通信塔の整備計画
1,571件の申請中、認可が完了したのは122件。
8月28日付ビジネスワールド
あれ?進んでいない・・・。そう思ったら、下記ニュースが飛び込んできた。
通信塔の申請手続きには通常8か月かかる。
7月の大統領による施政方針演説で通信会社を批判したが、通信会社側は障害は行政手続きだと主張した。
情報通信技術省が8か月から16日間に短縮するよう指示。
2020年9月21日までの約1か月間で933件が認可された。
2020年9月24日付NNAニュース
皆さんはこの流れをみてどう感じるだろうか。
誰のために仕事をするのか。このことは常に頭に置いて取り組んでもらいたいと思う。