USCPAのフィリピンライフ
日常生活で気になること

フィリピンの運輸省から高速代の現金払い禁止が発表。年内に自動化を完了!?

コロナ禍の勢いを利用して(?)フィリピンの生活が激変しつつある。

今回は高速料金の現金払い禁止である。

フィリピンの運輸省が発表し、サンミゲルが急いで設置に動く。しかも2020年年内に完了させるとのこと。

これだけ聞けば大したことであるし、できれば画期的だとも思う。

フィリピンで高速道路を利用したことがある方はお分かりと思うが、フィリピンでは高速道路も渋滞している。従って高速道路なのに高速で走れない、しかもそれなりの料金を取られるので、「高速道路=速く行ける」という図式が成り立つとは限らない。しかしもちろん有料であるため高速道路を敬遠する人もいる。これは時間帯によったり様々要因を総合的に勘案して、高速道路を使うべきタイミングかどうか、を慎重に検討判断しなければならない。ベテランで普段からそのような判断を行う訓練をしている優秀なドライバーであれば、こちらが指示しなくてもより速く目的地に着ける道を自然と選択しながら進んでくれるのだが、何も考えずに運転だけをしてきたドライバーであれば、「高速道路=速い」という短絡的な思い込みにより混んでいない時間にも関わらず高速道路をわざわざ有料で使ったり、高速道路を使っても速く行きたい上に高速道路が空いている時間帯にもかかわらず高速代をケチって普通道路を突き進んだ結果、渋滞にはまって動けなくなるドライバーもいる。だからドライバーの選択は車(車種とか)の選択よりも大事だと私は考えている。ドライバーの選択がフィリピンでの人生を決めると言ってもいいかもしれない。それくらいフィリピンでは車事情、交通事情に悩まされる。道を知らないドライバーも最悪なので最短ルートを的確に通ろうとしているかはよく見極めた方がいい。

おっと、ドライバーの話で熱くなってしまった。またこれは気が向いたときに「ドライバーの選び方」などで記事で紹介したいと思う。

で、今回は高速代有料化の話。

聞こえはいいが、ここにはフィリピン独特の事情が勘案されているのか気になる点がある。

それは、「現金を使わない=ETC」ということだろうが、ETCというのは日本ではクレジットカードに接続されている。そして、高速代金を支払えば、クレジットカードに記録され、あとで自分の銀行口座から引き落としがされる、という仕組みだ。

つまり、クレジットカードの登録が必須ということである。そして、クレジットカードは銀行口座を持っていることが必須である。

日本人は当たり前だろと思うかもしれないが、フィリピン人で銀行口座を持っているのは、2017年時点の世界銀行の調査によると、成人で34%である。今は少し上がっている気はするがそれでも約6割の成人が銀行口座すら持っていないのだ。銀行口座を持っていないというのは銀行口座を開設する条件に達していないということである。もしくは銀行口座を作ってもそこに預けるほどのお金がないので銀行口座なんていらないということもある。銀行口座がなければクレジットカードなんてもってのほかだし、そもそもクレジットカードは信用力がなければ作れない。

こんな状況で高速代を現金で支払えなくするということはどういうことなのか。

恐らく高速代を払えなくなるドライバーがいるだろう。そうなれば普通道路を使うしかなくなる。そして高速が使えないようなドライバーはビジネスとしても成り立ちにくくなる。そうなると高速を使う人が減り、高速を使えるような人(銀行口座を持ってクレジットカードも作れるような裕福な人)がスイスイ使えるようになる。

そう!私からすればどうしてもお金持ち優遇政策を連想してしまう。現金でしか払えないような人は高速を使うなってことだ。日本だって頑なにETCを取り付けない人がいるがそのような人たちも日本の高速道路は見捨てていない。まだ現金で払うレーンは残っている。

このようにフィリピンでは、見た目はとても良さそうな政策のように見えても、フィリピンの内情を考えるとちょっと違うのでは?時期尚早なのでは?その前にもっとやることあるんじゃないの?て思うことが沢山ある。

個人的にはまずはみんなが銀行口座を持てるほど雇用を創出し、働く機会を与え、働くことで給料をもらい、その給料で日々生きていくサイクルをみんなが回すことが大事であると思っている。それと同時にそもそも仕事ができるほどの人間性を身に付けるため、教育は欠かせない。ただ、教育はどうしても時間が掛かるので、仕事と教育は同時にやっていくべきだ。しかも、教育が大事であるということは当然なのだが、その教育を受けられなかった人は教育が大事であるという考えにすら至らないので、その教育を受けていない子供はもちろんその親にも同時に教育を施さなければならない。そうしなければすぐにまた元に戻ってしまう。

仕事をしていれば誰かはその中から「自分でやってみよう」と思うようになり、独立することで新たに雇用機会が創出される。そしてそこで労働者が生まれ、その給料で生きていくサイクルが生まれる。このサイクルをみんなで回せばそのうち働くことが当たり前となり、その働いた給料で生きていくことが当然となり、その日のうちに使いきれないお金をどこかに保管したいと考えるようになって銀行口座を持つだろう。安定した仕事があるなら銀行だって口座開設に文句はないはずだ。これでクレジットカードだって作れるようになる。そしてお金があれば今まで買えなかったものが買えたりできなかったことができるようになる。それでもっと頑張ってもっと稼ごうと思うようになり好循環に入る。自分ができたから子供にも同じような機械を与えてあげようと教育に力を入れるようになる・・・このようなサイクルが回るようになって初めてETC導入が始まるのなら納得いくが、銀行口座保有率4割程度の現在の状況でETC義務化は色々すっ飛ばし過ぎている感が否めないのは私だけだろうか。

こうなってくると色々な思惑を考えてしまう。

ETCにするならそれぞれの料金所にETCの設備を設置しなければならない。しかも、ドライバーはETCにするならETCに使う機械を買わないといけない。そしてETCということは記録が全部残るということである。

さて、フィリピンで何が起こっているのか。フィリピン人がこれをよしとしているのか気になるところである。

たかがETCと思うかもしれない。しかし現象面からその真意を考えることは大事であると思う。

ABOUT ME
ようちゃん
こんにちは! 本ブログの運営をしているようちゃんです。 学生時代は部活(水泳部)とバイトに明け暮れ、勉強はほったらかし。大学4年生の時に就活しながら1年生と授業を受ける講義もあり、リクルートスーツを身にまとったおっさんは新入生に白い目で見られながらもなんとか卒業にこぎつけた。 英語が好きだったこともあり、将来はなんとなく海外で働いてみたいなあとぼんやり思っていました。 そこで、大手総合商社を中心に、海外駐在できたり、世界を飛び回れる仕事をやらせてもらえそうな会社を選んではひたすら受けまくりました。 運よく海外に拠点を広げ続けている上場企業の商社に入社できました。 入社前の先輩社員との懇談会で台湾やイギリスなどに駐在経験があった社員から海外駐在時の話を聞くことができ、自分も同じようなキャリアを描けるのかもと社会人人生を楽しみにしていました。 しかし、配属先は経理部に。経理なんてなにをする部署なのかもわかっていませんでした。一体いつになったら海外に行けるのか。そんな不安とともに社会人生がスタートしました。 結局新卒から10年ほど上場企業の正社員として経理部で働きました。その間に紆余曲折がありながらもUSCPA(米国公認会計士)のライセンスを取得。 当時の後輩がインドに赴任したことをきっかけにバックオフィス周りの指導やサポートを行っていました。その後輩は営業経験しかないのに、インド法人を丸ごと任されてしまい、営業以外の仕事をどうしたらいいのか困っていました。私は営業はできませんが、経理を中心とした事務系の仕事はある程度アドバイスできました。当時としては大したサポートにはなっていなかったとは思いますが、それでもとても感謝されました。 そこで思いました。 海外に出ている日本人は同じように困っているに違いない。それなら今の会社だけでなく、たくさんの会社をサポートできるかもしれない。 このインドに放り込まれた後輩をサポートしたことがきっかけで、自分の人生設計を見直した結果、上場企業の正社員という安定した地位を捨て、2015年に突然フィリピンに移住し、海外コンサルタントとして働き始めました。給料が日本にいた時の3分の1近くになって嫁に怒られ、嫁ブロックにあいながらも何とか凌いでいます。 私の予想通り、海外に出た日本人の駐在員は困っていました。 そこで海外コンサルタントの出番です。 日本の常識は海外ではなかなか通じません。 とは言っても、日本のやり方でビジネスを進めていく必要がある場面もたくさんあります。 だからこそ海外コンサルタントは必要なのですが、少子化のせいなのか、若者の海外離れのせいなのか、海外コンサルタントは圧倒的に足りません。 あなたのサポートを待っている企業が必ずあるはずです。 本ブログを通じて、少しでも海外コンサルタントに興味を持ってもらい、海外コンサルタントの世界に参加してくれる仲間が増えてくれれば、駐在している国はもちろん、日本も元気を取り戻してくれることと確信しています。 ぜひ仲間になりましょう!