USCPAのフィリピンライフ
経理職/財務職

【経理職】会計の実務経験だけでは成長が止まる理由[今身に付けるべきスキルとは?]

経理職は会計の実務経験が大事と転職市場ではよく聞きます。しかし会計の実務経験と言っても幅が広く、その価値も様々です。実務経験によっては残念ながらそれ以上の成長は見込めないものもあります。転職市場で評価される経理の実務経験経理職の方が今身に付けるべきスキルについて私の経験談を踏まえて考えてみます。

経理の実務経験は簿記だと思われている

つぶしが効く業種だからなのか最近は経理未経験の方も経理職を目指しているようです。確かに経理職はつぶしが効きます。なぜなら経理という業務が存在しない会社はないからです。すべての会社が経理という業務を抱えています。

経理職というイメージからして多くの人が経理の基礎とも言われている簿記から勉強し始めるのではないでしょうか。経理の実務経験=簿記が大事ということで、簿記の勉強を資格試験を通じて身に付けようとするでしょう。日商簿記の1級ともなれば、それはそれは難しい資格で、ある意味公認会計士の試験と同等のものとなるそうです。

簿記1級を取得して経理の実務経験を積めば簡単に転職できる。そう思ってとてつもなく難しい簿記の資格取得に邁進することはまったく否定はしませんし、資格取得を目指すことはとてもすばらしいことなのですが、個人的にはそれだけでは成長が止まってしまうというのが実感です。

簿記の資格を取得して、経理の実務経験を積めば転職市場で評価されると思ってしまうのは危険です。

経理の人が「経理屋」で終わってしまう現実

経理の人はよく「経理屋」と馬鹿にされることがあります。

私も経理の仕事を10年近くやっていたのでよく耳にしました。簿記を少し勉強した人であれば分かると思いますが、会計というのは借方(かりかた)と貸方(かしかた)という概念があり、左右には常に同じ数字を入れることになっているので必ず左右がバランスするようにできています。しかし、実務をやっているとこれがうまく左右がバランスしないことが起こります。小数点の関係や入力ミスなどにより、1円ズレたりするのです。

この1円のズレというのは経理職からすると許せないのです。

きっとどこかで間違えたはずだ。そうして今まで入力した取引記録を全て1つずつ見直し、1円の差の原因を何時間もかけて、場合によっては何日もかけて探し出すのです。それはそれはものすごい執念です。こうして1円のために数万円(時間換算)を費やすわけです。これは経理とは関係ない人からするととてもおかしく見えるのです。

他の例では、経理屋はとてもケチです。

しかし経理屋はプライドを持っています。1円でも会社の経費を使わせない、使ったらとことん使い倒すことを信条にしています。電車に乗らないで歩いていけとか、新幹線じゃなくて在来線に乗れとか、鉛筆は最後の1センチになるまで使わないと次の鉛筆は支給しないとか、そうやって徹底的に経費を削ることに執念を燃やすのです。こういうことは間違ってはいませんが、会社というのは利益を出すことが至上命題です。利益というのは売上があってそこから使った費用を差し引いて残ったお金のことです。つまり、費用を使わないというのも大事ですが、売上を伸ばすということも同じように大事なのです。ということは、売上につながるなら、それにかかる費用は使うべきということになります。このように売上と費用はバランスが大事ですので、時には思いっきり使うことも必要になるのですが、経理屋はここが分からず、とにかく費用を削ることばかりを考えてしまい、それが機会損失となって実は売上を伸ばすチャンスを失っているということもあり得るのです。

でも経理職で働いていた私からすればこの考えに陥ることも分からなくはありません。経理は売上を伸ばすことには直接関係しません。それと経理の評価軸は「費用を使わないこと」「無駄を排除すること」だったりするので、どうしても”経理屋マインド”になりがちなのです。

これからの時代は経費を削るだけの経理はあまり求められていません。経理屋以外の部分で価値を高めていく必要があります。

経理の実務経験は経営に活かすことでステップアップを!

上述に経理屋の特徴を解説しました。経理屋とは別にもう一点注意することがあります。それが「繰り返し処理」です。

経理の仕事というのはルーチンワークがほとんどです。要するに毎日、毎月、毎年の仕事のスケジュールが決まっているということです。これは国のルール、業界ルールがあるため、それに従って仕事を進めていくことが多いのでどうしてもルーチンワークになりがちです。とはいえとても大事な仕事ばかりですのでルーチンワークを馬鹿にできません。

ルーチンワークは大切という前提は理解した上で、多くの経理職の人はこのルーチンワークを淡々とこなしているだけで2~3年もすれば学びは少なくなっていきます。要するに「繰り返し処理」をしているだけなのです。ルーチンワークを覚えるという意味ではとても大事な実務経験なのですが、一度ルーチンワークを理解してしまったらそれ以上に学べることはなくなってしまうのです。しかし、仕事自体は毎年同じように存在しますから、なんとなく仕事をしている気はしてしまうのです。

これはとても危険です。これに慣れてしまうとどうしてもそれを変えようというインセンティブが働かなくなり、むしろこのルーチンワークを守ろうとしてしまうのです。

しかし、このブログを読んで頂いている方にはお伝えしたいです。

それでは成長が止まってしまうのです。そしてそのレベルの人材であれば転職市場では評価されないのです。なんとなく仕事している感覚にはなりますがそれは幻想です。そのレベルの実務は早く卒業してください。

前述の話と矛盾するかもしれませんが、経理の仕事は費用削減をすることだけではないと言いましたが、これは別の面からすれば、作業を効率化するということで実現することもできます。お金を使わないという方法もありますが、お金を使っても作業時間を半分にできれば、それはお金を半分しか使わなかったと言えるのです。

このように経理というのは、経費削減という目標に対しては、お金を使わないという手段とお金は使っても作業時間を半分でできるようにする、という2つのアプローチ方法があるということなのです。

ただし、何でもかんでも早くやればいいというわけではなく、早くできる部分を早くしてみたり、無駄な部分をカットしたりすればいいということです。そして一番分かりやすいのが、「繰り返し処理」なのです。繰り返し処理はパターン化されていれば自動化できます。つまり、機械にやらせることでものすごい作業時間の短縮につながるのです。

この「機械にやらせる仕組みを作る」というのは実務経験がないと中々できるものではありません。なぜなら業務を詳細まで知っていないと機械化なんてできないからです。これができれば、今まで3人でやっていた仕事を1人で、しかもアルバイトの大学生1名でできるようになるかもしれません。これによって、繰り返し処理をしていたベテラン社員は会社の経営分析やもっと付加価値が高い仕事、ベテランじゃないと難しいようなレベルの高い仕事を行うことができるようになるわけです。場合によっては売上を伸ばす役割に異動してもいいかもしれません。

こういう改革改善こそ会社が経理に求めている仕事であり、これこそ転職市場で評価される経理の実務経験なのです。

ルーチンワークを馬鹿にしているのではありません。繰り返し処理を知っていることは大事です。経理職の基礎です。私が言いたいのは既に何回も経験しているのにそれを何年も続けることは実務経験のプラスにはなりませんよということです。

経理は実務経験+体系的な学習で経理屋を脱却せよ!

少々キビシイことを言いましたが、せっかく私の記事を読んで頂いている皆さんにはぜひ成長してほしいのです。繰り返し処理をして仕事をした気になってほしくないのです。繰り返し処理が経験できたら、次はいかにそれを自分ではない誰かにやってもらえるかということを考えてください。それは大学生のアルバイトかもしれないし、もしくは機械(会計ソフトなど)かもしれません。やり方は色々あります。今はこうした課題に対してのソリューションはたくさん出ています。人を使ってやってもいいし、ツールを使ってもいい。それは会社に合わせて選んでください。段階を追って対応する方法もアリです。いきなりシステムを導入しよう!なんて言っても”経理屋”からしたら大反対です。今の環境、仕事のやり方を変えたくないからです。だから「先輩、ちょっと働きすぎですよ。もう少し楽に働いてくださいよお~」とか言って相手の仕事を楽にする提案で押すということはできますよね。仕事が楽になることを嫌がる人はいないでしょう。そうやってサラミスライス戦法(竹田恒泰さんが多用)で会社の業務フローを変えていくのです。そうやって少しずつ理想の経理に近づけていきましょう。そんな経理改革ができる経理職なら転職市場で引っ張りだこでしょう。それこそどの会社も同じような悩みを抱えているからです。しかも経理というのはルールがあるのでどの会社も同じような部分で悩んでいます。つまり、自社で成功できたら隣の会社に転職しても同じように導入して成功する確率が極めて高いということを意味します。それだけ汎用性があるし、これこそ”つぶしが効く”のです。

では経理職として経験すべき実務経験が分かったところで頑張ってください!

と、言ってもじゃあどうしたらいいんだよ、という声が聞こえてきそうなので、追記します。

まず、上述で紹介したような視点を持つためには、簿記の勉強だけでは不十分です。簿記は経理の基礎の基礎です。簿記の知識がないと話にならないので簿記の学習は大前提となります。

その上で体系的に勉強することです。簿記はあくまで決算書の作成の仕組みしか勉強できません。決算書を作成するためにはまずは決算書に必要な情報をしっかり集めることから始まります。しかし、情報の集め方は簿記では学習しません。最近は海外に子会社があることや支店が全国に散らばっていることもあります。この場合の情報収集の方法は工夫しないといけません。そうなると、ITの力を借りることも検討しなければなりません。

ということで簿記だけでなく、総合的なビジネスの知識がないとそもそも検討する事すらできないかもしれません。なぜなら注意すべきポイントや注目しなければならない論点がわからないからです。これらをバラバラに勉強するのは効率が悪いです。
こういう時は資格を使って体系的にかつ短時間で一気に勉強してしまうのが手っ取り早いです。

こちらにリンクを貼っておきますので必要な方は学習を開始してください。
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今回紹介した実務経験が積めたらあなたは転職市場で高付加価値人材になっていることでしょう。なぜなら私もそういう人材を探しているからです。でも中々見つかりません。以下からチェックしてみてください。

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ようちゃん
こんにちは! 本ブログの運営をしているようちゃんです。 学生時代は部活(水泳部)とバイトに明け暮れ、勉強はほったらかし。大学4年生の時に就活しながら1年生と授業を受ける講義もあり、リクルートスーツを身にまとったおっさんは新入生に白い目で見られながらもなんとか卒業にこぎつけた。 英語が好きだったこともあり、将来はなんとなく海外で働いてみたいなあとぼんやり思っていました。 そこで、大手総合商社を中心に、海外駐在できたり、世界を飛び回れる仕事をやらせてもらえそうな会社を選んではひたすら受けまくりました。 運よく海外に拠点を広げ続けている上場企業の商社に入社できました。 入社前の先輩社員との懇談会で台湾やイギリスなどに駐在経験があった社員から海外駐在時の話を聞くことができ、自分も同じようなキャリアを描けるのかもと社会人人生を楽しみにしていました。 しかし、配属先は経理部に。経理なんてなにをする部署なのかもわかっていませんでした。一体いつになったら海外に行けるのか。そんな不安とともに社会人生がスタートしました。 結局新卒から10年ほど上場企業の正社員として経理部で働きました。その間に紆余曲折がありながらもUSCPA(米国公認会計士)のライセンスを取得。 当時の後輩がインドに赴任したことをきっかけにバックオフィス周りの指導やサポートを行っていました。その後輩は営業経験しかないのに、インド法人を丸ごと任されてしまい、営業以外の仕事をどうしたらいいのか困っていました。私は営業はできませんが、経理を中心とした事務系の仕事はある程度アドバイスできました。当時としては大したサポートにはなっていなかったとは思いますが、それでもとても感謝されました。 そこで思いました。 海外に出ている日本人は同じように困っているに違いない。それなら今の会社だけでなく、たくさんの会社をサポートできるかもしれない。 このインドに放り込まれた後輩をサポートしたことがきっかけで、自分の人生設計を見直した結果、上場企業の正社員という安定した地位を捨て、2015年に突然フィリピンに移住し、海外コンサルタントとして働き始めました。給料が日本にいた時の3分の1近くになって嫁に怒られ、嫁ブロックにあいながらも何とか凌いでいます。 私の予想通り、海外に出た日本人の駐在員は困っていました。 そこで海外コンサルタントの出番です。 日本の常識は海外ではなかなか通じません。 とは言っても、日本のやり方でビジネスを進めていく必要がある場面もたくさんあります。 だからこそ海外コンサルタントは必要なのですが、少子化のせいなのか、若者の海外離れのせいなのか、海外コンサルタントは圧倒的に足りません。 あなたのサポートを待っている企業が必ずあるはずです。 本ブログを通じて、少しでも海外コンサルタントに興味を持ってもらい、海外コンサルタントの世界に参加してくれる仲間が増えてくれれば、駐在している国はもちろん、日本も元気を取り戻してくれることと確信しています。 ぜひ仲間になりましょう!