USCPAのフィリピンライフ
経理職/財務職

【経理職】会計の知識&経験だけではこれからの時代は物足りない現実[経理に必要な能力とは?]

つぶしが効く仕事のためか最近は経理や会計の仕事に興味を持つ方が増えてきたようです。経理職は職人の仕事なので経験値が重要ですが、経理の実務経験が足りないことで悩んでいる人も多いでしょう。しかし、これからの時代は実務経験だけでは物足りない時代です。実務経験と合わせて別のスキルも習得する必要があります。

経理の実務経験が足りないけど問題ない?AI時代到来で地殻変動が起きる?

経理の実務経験が足りないことで悩んでいる方が多い気がしています。色々な転職サイトや経理に関わる仕事のサイトを見ても、「経理職=実務経験が大事」とか「経理は実務経験がないと使えない」などと実務経験が重要である、実務経験がないと話にならない、といった実務経験を重んじる傾向がみられます。

確かに実務経験は大事です。私は10年くらい事業会社の経理職を経験していますし、上場企業の決算担当でしたからとにかくこなさなければならない作業が多く、残業、徹夜、休日出勤は当たり前という環境で育ちました。その経理のまさに血のにじむような実務経験が今の私を支えていることは否定できません。

経理の実務経験を持っていることは大事であるという前提で、今の時代はAIが徐々に忍び寄っています。これもよく記事を目にするようになりましたが、AIの登場によって経理の仕事が無くなるというものです。しかも結構早めになくなる仕事の部類に含まれているではありませんか!

これは経理の実務経験を積んできた私からすればとてもショッキングなことです。朝から晩まで働き、夜中は1時とか3時とか、徹夜もチョロチョロ、休日出勤は当然で決算発表直前は目を開けているのも精一杯という中でそれこそ身を粉にして自分の時間を経理の仕事に捧げてきたわけですから、その大事な命の時間の犠牲は何だったのか、時間を返してくれと言いたくなるような大事件なのです。

でもこれは経理の実務経験がない方からすれば朗報ですね。経理の実務経験が足りないからといって、経理の実務経験がある方よりも仕事ができないというわけではなくなるということを意味しています。

まさにAI時代到来による地殻変動です。

【簿記の資格は意味ない?】簿記を知らなくても経理実務ができてしまう現実

経理実務経験が足りなくても経理の仕事はできるようになるというお話をしました。実務経験が不要になるということで嘆きに近い表現をしましたが、実際に実務をやっていた私からしても実はこれは大いに歓迎しているところです。素直に表現すれば「やっと解放される・・・」っていう感じです。

少し簿記を勉強した方なら分かると思いますが、経理や会計のルールというのは結構しっかりしていて、ある程度パターンがあります。パターンがあるということは繰り返し処理ができるということです。繰り返し処理というのはコンピューターが最も得意とするところで、間違えない上に早く処理できるのです。つまり、経理の仕事というのは実は機械にやらせた方が早く正確にできるということなのです。機械にやってもらえるなら今まで人間がやっていた繰り返し作業はやらなくていいということになります。

簿記を勉強すると、仕訳(しわけ)という概念が出てきます。借方(かりかた)と貸方(かしかた)、右と左にそれぞれ数字を入れて左右をバランスさせ、それぞれの集計表からさらに一つの集計表にまとめて表を作るっていうアレです。経理の理論としてはそうなのですが、昔は全て手書きでいわゆる帳簿というものにリアルに一つずつ取引を書いていきました。この時は簿記の仕組みが分かっていないと仕事ができなかったので、簿記の学習は必須でした。

しかし、これらの仕組みはある程度パターン化できるので、今はソフトウェアを使うことが大半です。そうなると、「ある場所にある数字を入れる」という作業をするだけで自動的に決算書が作れてしまうのです。これはマニュアルとか手順書を用意すれば、例え簿記の知識や経験がなくても仕事ができてしまうのです。この「ある場所にある数字を入れる」という作業を実務経験と呼ぶのであればなんとも微妙な感じですよね。その仕事自体は確かに経理の仕事に違いはないけれど、実際にやっている人は単純にマニュアル通りにソフトウェアに入力していく作業をこなしているだけですので経理の知識がなくても、借方貸方が分からなくても立派に経理の仕事ができてしまうのです。

確かにこのソフトウェアへの入力作業も経理の実務経験といえばその通りですが、これを何年も続けたところで経理に詳しくなることはできません。せいぜいソフトウェアへの入力が手元を見ないでできるようになる(いわゆるブラインドタッチ)とかソフトウェアへの入力が普通の人は1分間に3枚しかできないのに、経験値を重ねると6枚できるようになるとかそういうレベルの話にしかならないのです。

でもこれってAIとか機械が得意なところです。いくら人間が訓練を積んでも機械のスピードと正確さには勝てないのです。

このように今は簿記を勉強していなくても、経理実務の経験を積める時代です。しかし、いわゆる転職サイトなどが言っている「経理の実務経験」ってそういう経験のことなんでしょうか?

もちろんそういう経験値がほしいという会社はあるでしょう。ベテランの経理職員が定年退職してしまうので、後任を採用しないと経理の仕事が回らないとかそういうことで実務経験者を採用したいということはあるでしょう。

しかし、私の記事を読んで頂けている方はもっと別の視点から考えていることと思います。

経理の実務経験は貴重。でもプラスアルファのスキルが必要

経理の実務経験は大事です。しかし経理の実務経験には種類があります。スーパーのレジ打ちの実務経験をたくさん積んだところでスーパーの経営はできるようになりません。同じように会計ソフトへの入力作業の実務経験をいくら積んだところで経理部長や経営者にはなれないのです。

誤解してほしくないのはスーパーのレジ打ちや会計ソフトへの入力作業を馬鹿にしているわけではありません。それはそれで大事な仕事です。

私が言いたいのはこの記事を読んでくれる人はそういうことを期待しているわけではないと思うので、そういったある意味での単純作業は経理の実務経験としてはカウントできないということです。もちろんやったことがあるという経験値は大事ですが、何年もかけて積み上げるものではないという意味です。

皆さんが求めるような実務経験とは何か。

それは作業の効率アップとか生産性向上に資する実務経験です。例えば先程の会計ソフトへの入力作業を例に取れば、実務経験というのはその入力作業をやる、早くするということではなく、「そもそもその作業をやめるにはどうすればいいか」とか「今3人でやっている入力作業を1人でできるようにできないか」とかそういうことを提案し、「それを実行して実際に会社の固定費削減に貢献した」とか「全体の作業時間が半分になった」とかそういう実務経験が大事なのです。これは入力作業を知らないと提案できないことなので大きな実務経験になるわけです。

転職市場で求められている経理の実務経験とはこういう提案&改善実行による会社への貢献を指しています。

会社への貢献という意味では、実は3つしか評価軸はありません。

1.売上高への貢献
2.経費削減への貢献
3.キャッシュフロー改善への貢献

経営者の目線でキビシイ言い方をすれば、この3つのうちどれかに貢献してくれないと、会社にしてみれば社員として雇用している意味がありません。

経理職がそれぞれに貢献するのであれば、1に対しては営業職の方々の支援です。営業職の方は営業活動を行い、仕事を取ってくるのが大きな命題です。ところが、そんな営業職の方であっても注文書を作ったり、請求書を作成したりと事務作業が意外と多い会社が少なくありません。こういった売上を増やす作業と直接関係しない仕事を排除してあげられるのが経理職だったりします。

2については文字通りですが、消しゴムは最後まで使うとか鉛筆は最後の1センチになるまで使えとかそういうチマチマしたことというよりは、もっと大きな視点で無駄を排除するとか事務作業を効率化することで実現するようなことを指します。これらは事務作業の流れが分かっていないとできない提案ですから経理職が大いに発揮できる分野です。

3についてはまさに経理職が活躍できる分野です。黒字倒産という言葉を聞いたことはありますか?会社は決算書上で利益が出ていても、お金が払えなくなったらその瞬間に倒産します。利益があることとお金があることは別問題なのです。これは簿記を勉強していないと理解が難しいところです。だからこそ経理職の方はこの部分に貢献できるわけです。お金が入ってくるタイミングと出て行くタイミングをうまく調整して会社にできるだけお金が残るように工夫するとか、お金が入ってくるのが遅いならそれを早くするために改善提案するとか、もしお金が余ったら投資に回してもっとお金を増やすようにするとかそういう改善提案を会社は求めています。

このように実務経験があるがゆえの提案力および実行力が転職市場で求められている実務経験の意味合いです。

しかし、私はこれだけでは不十分と考えています。

これからはコミュニケーションスキルが重要に【会計×英語】

上述の経理職としての3つの貢献ポイントは、AI時代到来前から求められていた実務経験です。これらの実務経験も持っていない経理職が多いので、まだまだこの分野で実務経験がある方は大変重宝されますし、転職市場では引っ張りだこでしょう。実際私もこういう人材がほしいものです。しかしなかなか見つかりません。そりゃそうです、どんな会社だってこの3つに貢献してくれる人材はほしいですから、それらに貢献できる人材は会社では「人財」として手放すことはないでしょう。そういう意味では転職市場に出てくることもありません。

しかし今はAIを活用する時代に突入しました。

これはなにを意味するのかというと、人間は人間にしかできない仕事をやりなさい、ということです。

【USCPAの将来性を考える②】AIやロボットの発達による脅威は本当か

スーパーのレジ打ちや会計ソフトへの入力作業は、まだ人間がやっているなら、早く機械にやらせるように仕組みを変えることが期待されています。それができたら次は人間にしかできないことに注力するように仕事のやり方を変えることです。人間にしかできないこと、それはコミュニケーションと私は考えています。簡単な会話なら今は機械にもできるようにはなってきましたが、それでも人間というのは発した言葉がすべてではありません。むしろ発した言葉と全く逆の意味を伝えたいということもあります。そんなことは機械には判断できません。これこそまさに人間しかできないことです。

つまり、人と人をつなぐ仕事というか人と人の摩擦が生じる部分についてもっと人間が関与することになるでしょう。そしてそういった人と人をつなげられる人とか、人と人の摩擦を解消できる人がこれからは価値を持っていくと思います。日本人だけの摩擦を解消すればいいわけではありません。グローバルな人間関係の中で解消できる必要があります。そのためには当然ながら英語は必須です。

経理の仕事は、経理だけで完結できるものではなくなりました。営業、品質管理、総務、人事などなど色々な部署が絡み合って、最終的に「数字」という会社の決算書(通信簿、成績表)に落とし込まれるのです。そういう意味では、経理というのは全ての部署と関係がある部署で、会社の心臓部といっても過言ではないでしょう。それを数字で把握する必要があります。

ということで、これからの経理職は、実務経験に裏打ちされた改善力、そして人間にしかできないコミュニケーション力、会社の実態を数字で客観的につかめる係数感覚の3つが求められていくものと想像してます。

ちなみに今はこのうちどれか1つでも当てはまれば転職市場では困ることはないでしょう。そして2つ、3つできる人はものすごい価値が高いです。英語でできればさらに世界が広がります。

せっかく経理職という大きなやりがいのある仕事をされているのであれば、ぜひこの3つを意識して、日本国内にとどまらず、世界に打って出てはいかがでしょうか。ご存じの通り、経理がない会社はありません。経理という仕事は会社にとってなくてはならない大切な機能です。ですから入力作業という単体の経理業務はなくなっても、経理という機能そのものがなくなることはありません。

経理職の方もぜひ時代に合わせて変化していきましょう。
それがあなたの市場価値を高めてくれます。

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ようちゃん
こんにちは! 本ブログの運営をしているようちゃんです。 学生時代は部活(水泳部)とバイトに明け暮れ、勉強はほったらかし。大学4年生の時に就活しながら1年生と授業を受ける講義もあり、リクルートスーツを身にまとったおっさんは新入生に白い目で見られながらもなんとか卒業にこぎつけた。 英語が好きだったこともあり、将来はなんとなく海外で働いてみたいなあとぼんやり思っていました。 そこで、大手総合商社を中心に、海外駐在できたり、世界を飛び回れる仕事をやらせてもらえそうな会社を選んではひたすら受けまくりました。 運よく海外に拠点を広げ続けている上場企業の商社に入社できました。 入社前の先輩社員との懇談会で台湾やイギリスなどに駐在経験があった社員から海外駐在時の話を聞くことができ、自分も同じようなキャリアを描けるのかもと社会人人生を楽しみにしていました。 しかし、配属先は経理部に。経理なんてなにをする部署なのかもわかっていませんでした。一体いつになったら海外に行けるのか。そんな不安とともに社会人生がスタートしました。 結局新卒から10年ほど上場企業の正社員として経理部で働きました。その間に紆余曲折がありながらもUSCPA(米国公認会計士)のライセンスを取得。 当時の後輩がインドに赴任したことをきっかけにバックオフィス周りの指導やサポートを行っていました。その後輩は営業経験しかないのに、インド法人を丸ごと任されてしまい、営業以外の仕事をどうしたらいいのか困っていました。私は営業はできませんが、経理を中心とした事務系の仕事はある程度アドバイスできました。当時としては大したサポートにはなっていなかったとは思いますが、それでもとても感謝されました。 そこで思いました。 海外に出ている日本人は同じように困っているに違いない。それなら今の会社だけでなく、たくさんの会社をサポートできるかもしれない。 このインドに放り込まれた後輩をサポートしたことがきっかけで、自分の人生設計を見直した結果、上場企業の正社員という安定した地位を捨て、2015年に突然フィリピンに移住し、海外コンサルタントとして働き始めました。給料が日本にいた時の3分の1近くになって嫁に怒られ、嫁ブロックにあいながらも何とか凌いでいます。 私の予想通り、海外に出た日本人の駐在員は困っていました。 そこで海外コンサルタントの出番です。 日本の常識は海外ではなかなか通じません。 とは言っても、日本のやり方でビジネスを進めていく必要がある場面もたくさんあります。 だからこそ海外コンサルタントは必要なのですが、少子化のせいなのか、若者の海外離れのせいなのか、海外コンサルタントは圧倒的に足りません。 あなたのサポートを待っている企業が必ずあるはずです。 本ブログを通じて、少しでも海外コンサルタントに興味を持ってもらい、海外コンサルタントの世界に参加してくれる仲間が増えてくれれば、駐在している国はもちろん、日本も元気を取り戻してくれることと確信しています。 ぜひ仲間になりましょう!