今回は軽めの話題から独自の視点で切り込んでみたいと思います。
まあそんな大そうな話ではないですが気にならずにはいられないので書きます。
さて突然ですが、皆さんはフィリピンの硬貨が最近変わったことはご存知でしょうか。
ご存じない方のために、まずは写真を見てください。
上記は5ペソ硬貨の写真です。
左側の写真は表、右側の写真が裏です。
下から上にいくにしたがって、新しくなっています。
次に下記の写真を見てください。
左側の写真が硬貨の表、右側の写真が硬貨の裏です。
その写真の中の左側が5ペソ硬貨、右側が1ペソ硬貨です。
さあ、皆さん、これを見てどう思いましたか。
若干写真では分かりづらいのが申し訳ないのですが(私が手元で撮った写真なのでお許しください・・・)、5ペソ硬貨の例で言えば、古い硬貨は黄色がかっていて、パッと見ただけで5ペソ硬貨と分かります。その黄色い5ペソ硬貨の次に発行されたのが真ん中の銀色の硬貨です。そして、最近発行されたのが一番上にある、色は一つ前と全く同じだけれど、微妙に八角形になっています。どの硬貨も今も使えて流通もしています。
次の写真は5ペソ硬貨と1ペソ硬貨を並べたものです。大きさはほぼ同じ、色は全く同じです。見分けるためには、硬貨に書いてある数字をきちんと読み取る必要があります。
いかがでしょうか。皆さんはどう思いましたでしょうか。もし皆さんが使う硬貨が見分けづらいと思ったらどうするでしょうか。きっと硬貨ごとに大きさを変えてみたり、材質を変えてみたり、重さを変えてみたり、もっと大きな印字にしてみたり・・・やり方は様々なにあると思いますが、ポイントは「誰でも簡単に見分けが付くようにすること」ではないでしょうか。
ところがどうでしょうか。私も普段コンビニなどで結構硬貨を使いますが、5ペソと1ペソはかなりの頻度で間違えます。実は今回写真は撮らなかったですが、10ペソ硬貨もあって、それもまた同じ材質、同じ色なんです!これまた分かりづらい!
硬貨が変わってから、多くのフィリピン人の間で文句を聞くようになりました。
フィリピン人は日常の異動は、ジプニーと呼ばれる乗り合いバスを利用します。
これですね。
で、多くのジプニーは現金で運賃を支払います。日本のように運賃箱などありませんから、ドライバーに直接手渡すんです。後ろの方に乗っている人は運転手に直接渡せませんので、隣のお客さんにお願いしてリレー形式で運転手まで届けます。そして、お釣りがある時は逆回りで手元に返ってくる仕組みです。
さあ、ここで問題発生です。お客さんが「お釣りが足りないんだけど!」と叫んでいます。そうです、5ペソ硬貨と1ペソ硬貨を間違えているのです。でも運転手は片手で運転しながら片手でお金を預かり、片手でお釣りを掴んで、片手でお釣りを渡しています。運転中なのでそんなにちゃんと硬貨をマジマジと確認できるわけではありません。そんなことしていたら事故ります。というわけで、長年の勘で釣銭を握り、お客に返しています。これは近くで見るとすごわざとしか言いようがありません(しかもジプニーはマニュアル車なのでギアチェンジも一生懸命こなさなければなりません。まさに神業です)。
とはいえ、夕方以降の暗い中でこのような釣銭確認は面倒でしかありません。ジプニーは社内も暗いですからもしかしたらお客が見間違えた可能性もあります。でもそれを証明する証拠はないので、議論するのも面倒なのでジプニーの運転手は泣く泣くお客の言う通りにします。一回9ペソ(約18円くらい)なのに、5ペソと1ペソを間違えて4ペソもロスしたら痛いです。
さて、なぜこのような硬貨にしたのでしょうか。
そう、製造コストが安いから、です!
それ以外の理由が思い付きません。
でも自分が使うならもっと考えますよね・・・。
そう、この硬貨のデザインを考えた人は硬貨を使わない人!なんでしょう。
だって、もし自分が硬貨のデザインを決める権限があって、自分でも硬貨を使っているならもっと分かりやすいデザインにするはずです。
フィリピンでは、お金持ちはジプニーやバスには乗らないのです。お金持ちは何台も車を所有し、また、ドライバーも付いています。支払いは小切手かクレジットカードです。現金なんて持たないんです。持っても札束でしょう。そう!硬貨なんて使わないんですよ!だからお金持ちにとっては別に硬貨のデザインなんてどうでもいいわけです。だからこそ製造コストという面しか見ておらず、使い勝手なんて考えようとも思わないのです。
残念ながらフィリピンは貧富の差が激しすぎます。日本で格差格差とか言ってますがフィリピンの格差は想像を絶します。お金持ちは何もしなくてもお金が有り余っているし、土地やビジネスを持っているため、黙っていてもお金が入ってきます。何軒も家を所有し、複数台の車を所有し、メイドさんを雇用し、お金持ちは優雅な生活をしています。逆にお金がない人は今日の食べ物にも困るほどお金がありません。
フィリピン人の間で助け合いのようなものがあればいいのでしょうが、残念ながら複雑な社会構造の中では現実には難しいのです。
話が長くなりましたが、硬貨を眺めている中から垣間見えた格差社会フィリピンでした。