USCPAのフィリピンライフ
取得すべきか迷っている方

【USCPA】外資系経理財務でキャリアを積むならなぜ会計士(CPA)の資格がないと昇進できないのか?

外資系で働いていますって聞くとなんとなくかっこいいイメージがありますよね。外資系に勤めてますって聞くと英語ペラペラ、上司は外国人、社内の公用語は英語で多国籍でワイワイっていう想像が膨らみます。でも経理財務のキャリアを外資系で積みたいと考えているなら要注意です。今のままでは昇進できないかもしれません。

経理財務のキャリアではCPAを持っていないと昇進できないのか?

もしあなたが経理財務のポジションでキャリアを積み上げていくのであれば、CPAの取得は必須となります。

特にあなたが将来ファイナンス部門の部長や財務責任者(CFO)などの経理財務における上位ポジションを狙っていくつもりであればなおさらです。

外資系の会社というのはここでは日本にある海外の会社や外国人が投資する日本にある会社や支店を指します。要するに、親会社はアメリカやイギリスにあるけれど、その子会社や支店が日本にあるという状態です。これは会社の持ち主という観点から言えば外国企業や外国人になりますから、日本の法律は守りながらも、社内は本国のルールや規律で運用されているケースが多いでしょう。

これは逆を考えてみればわかります。

私はフィリピンで働いていますが、親会社は日本の会社です。つまり私はフィリピンでは外資系企業で働いていることになります。フィリピンという土地で働いていながらも、クライアントはほぼ日本の会社になりますから、フィリピンの法律は守りながらも日本流のルールや規律で社内を運営している部分が多くあります。

話が飛んでしまいましたが、要するに日本にある会社ではありながらも、母体が海外にあるので社内も海外でのルールが適用されているということですね。

日本の会社に勤めたことがない新卒の方であれば外資系企業にもあまり違和感なく溶け込めるのかもしれませんが、日本の会社で長く働いたことがある方が外資系に転職するとそのギャップに戸惑うことが多いことでしょう。

このようなギャップは経理財務のポジションでも起こります。

その一つがCPAを持っていないと昇進できないという事象です。

【理由】海外ではジョブローテーションがない

CPAを持っていないと昇進できないとなると困りますよね。

CPAとは日本語で言うと、公認会計士です。日本では公認会計士という資格はほとんどの方はよく知らないのではないでしょうか。私はたまたま新卒で経理部門に配属され、そこで初めて簿記という学問に出会い、当時勤めていた会社が上場していましたので公認会計士という資格のことを知ることができました。

日本の会社の経理財務部門で公認会計士の方が在籍している会社はほとんどないのではないでしょうか。だから経理財務部門に勤めている方であっても上場企業に勤めていない限りあまり接点がないでしょう。

私の恩師が以前こんな話をしてくれました。

とある日本の会社が海外の会社に突然買収された。そこで役員数名と部長クラスが本国から送り込まれてきた。当然経理財務部門にも外国人の責任者がアサインされた。買収されたのちの最初のミーティングで経理財務責任者がみんなに問いかけた。

「この部門にはCPAは何人いるのか?」

この財務責任者の問いかけにみんなびっくりしたそうです。しかしこの会社にはCPAはいなかったわけです。でもそれが普通です。

それを聞いた経理財務責任者の方がビックリしていたのは言うまでもありません。

日本の会社に勤めたことがある方ならお分かりでしょう。CPAが社員にいることなんてほとんどありません。でも海外ではCPAを持っているのはそれくらい普通のことなのです。

これはひとえに海外にはジョブローテーションというものが皆無であることが挙げられます。

海外では仕事の内容が入社時の”契約”によって決まっているのが普通です。

私もフィリピンで自社の採用活動に携わっていますが、従業員を採用する時には雇用契約書を用意します。その契約書の中に仕事内容を細かく記載する必要があり、基本的にはその内容以外の仕事はできないことになっています。

記帳の入力業務で採用された従業員が部長職になることはないということです。

もちろん能力次第というところはありますが、本人も部長になろうと思って入社していないので、2年くらい経験を積んだら別の会社に転職していきます。そして空いたポジションに同じ能力の人を採用して会社を維持するという流れです。

そういう意味ではスタッフ職を頑張った先に部長という道はないということになります。

これはスタッフと部長はまったく別の能力が必要になるからです。どちらが上ということよりも、別の仕事ということです。スタッフとして優秀だから部長ができるわけではないし、部長だからスタッフの仕事ができるかと言えばそんなこともないのです。部長には部長としての能力が必要であり、その能力がない限りは頑張ったところで部長にはなれないというのが海外の考え方です。

日本は右ならえというか、皆平等というか、横並び意識が強いので、スタッフが頑張ったらいつか部長になれるケースが多いでしょう。しかし、海外ではそもそも仕事内容がスタッフと部長では違うので、部長になりたいなら部長に求められる能力に到達しなければ部長になることはできないのです。

経理財務でキャリアを積みたいならCPAを取得するしかない

では部長になりたいならどうすればいいのか。部長というのはここでは高位の役職の代名詞として使っていますが、CFOなどの財務責任者、役員や監査役などを目指す場合も同様です。このあたりの役職は経理財務キャリアのゴールみたいなポジションですが、いずれの役職においても広範囲な知識と経験が必須です。なぜなら自分の意思決定一つで会社を右に行かせたり、左に行かせたり、はたまた上に行かせたり、下に行かせたりすることになりかねないからです。そういう意味で高位の職位は方向感というか大局観は絶対的に必要なものです。まずは世の中の流れや空気をきちんと理解する、感じる。その上で、その流れに逆らわずに突き進む方向を選ぶ順張り道に進むのか、もしくはあえて流れに逆らって逆方向に突き進む逆張り道を選ぶのかを決めていくことが必要になるからです。このくらいの高職位は船でいうところの船頭です。船に1,000名乗っていたとしても、方向を決められるのは数名だけです。残りの数百名はその船頭が示す方向に従うしかありません。だから会社の船頭である高職位の人はきちんと状況を把握し、その上で会社が進むべき道を指し示す能力が必要なのです。これはスタッフを何年も経験すればできるようなものではありません。船の例えはとても分かりやすいと思いますが、船内のレストランで客をもてなす能力がピカイチなウェイトレスが10年ウェイトレスの経験を積んだとします。ウェイトレスとしてはなんでもできるし、きっとメニューもすべて暗記してしまっていることでしょう。ウェイトレスとしては非常に優秀と言えます。ではこの優秀なウェイトレスに船の船頭ができるでしょうか。間違いなくできないでしょう。同じ船に乗っているのにもかかわらず、何年経ってもウェイトレスが船頭になることはできないのです。
日本の会社ではウェイトレス20年選手をいきなり船頭に近いポジションに置いたりしますが、海外ではありえません。それはウェイトレスと船頭はまったく別の仕事であり、だからこそまったく違った能力が必要だからです。

経理財務の話に戻しましょう。

経理財務でキャリアを積みたいからと言って、記帳業務からスタートしようという人がいます。経験としてはとてもいいと思います。しかし、記帳業務のプロになりたいのか、高職位を目指したいのかは考えておいた方がいいでしょう。もちろん記帳業務のプロは素晴らしい能力です。さっきの例で言えば、ウェイトレスのベテランと同じです。きっとみんなに好かれるでしょうし、重宝されると思います。でも高職位を目指したいならいつまでも記帳業務をやっていては上には上がれません。もっと広い視野が必要になるからです。広い視野とは例えば以下のようなことです。

なぜ記帳業務が必要なんだろうか。
記帳業務をなくせないだろうか。
記帳業務を一瞬で完了させる方法はないだろうか。
人が介在するからミスが発生する。人がやらないようにはできないだろうか。

といったことです。
記帳業務を現場で日々こなしている人からすれば自分がやっている作業を否定することになりますから到底受け入れられる疑問ではないでしょうから、そもそもこういった疑問は持たないはずです。しかし、高職位を目指すならこういう根本的な部分、「ところで、この仕事って必要なんだっけ?」「この仕事をなくしたら誰が困るのかな?」っていう視点を持って業務や会社の意義そのものを問い直す力というか視点が求められるのです。

そうは言っても一朝一夕にはそんな疑問など持てるはずもありません。疑問を持てるようになるためには、まずは大量のインプットが必要だからです。そのインプット同士がいつかどこかで瞬間的につながることで、「あ!これってもしや・・・」っていうひらめき、インスピレーションが芽生えるようになるのです。

経理財務キャリアの中で大量のインプットをしかも専門的に可能にしてくれるのがCPAです。CPAは公認会計士の資格ですから会計のことばかりを勉強すると思われがちですが、会計の勉強はほんの一部であり、基礎となる知識というだけです。会計だけ分かっていれば会計士が務まるほど甘くはありません。公認会計士の役割は金融市場をフェアに守ることですから、それこそ世の中の流れや空気が分かってないとその判断を見誤ってしまい、間違った評価を下してしまうことになりかねません。会計士が判断を見誤れば、エンロン事件のように、大きな会社を1つ潰してしまうことになりかねません。会社が潰れれば、そこで働いていた従業員は仕事を失います。株を持っていた投資家も株が紙切れになります。お金を貸していた銀行はお金が回収できなくなり、他の会社に貸せなくなります。たった1社の出来事が様々な事象へ発展する世の中なのです。だからこそ公認会計士の判断はとても重大なのです。公認会計士の最終判断は、究極的にはその会社の財務諸表が「適正か」もしくは「適性じゃないか」の2択になります。このどちらかの判断をなるべく間違えないようにするために大局観を養う必要があるのです。その登竜門となっているのがCPAの試験です。大局観を持ってない船頭が乗る船ほど恐ろしい船はありません。だから高職位にはCPAの保有が必須になっているのです。

【まとめ】経理財務のキャリアは資格が大事。取得は早い方が有利。

いかがでしたでしょうか。海外の会社の方が合理的に組織が作られていることがお分かり頂けたと思います。日本の組織では、スタッフはえらくない、部長はえらいと上下の関係でとらえてしまいがちですが、あくまで組織の戦略の話の中ではえらいとかえらくないではなく、そもそも仕事内容が違うから求められるスキルも違って当然なのです。

とはいえ、スタッフの方が部長になりたいからスタッフの仕事はやりませんというわけにもいきません。しかし現場を知っている、現場の末端の仕事をやったことがあるという経験はなによりも代えがたい財産です。現場にいるからこそ地に足の着いた提案が出せるということもあります。それでも世の中の空気感や全体のフローを理解してから個別の業務経験を積んだ方が仕事が面白くなりますし、仕事の能力も抜群に伸びるでしょう。どうせ仕事はしないといけないのですから、作業を作業で終わらせてしまうのはもったいないです。船頭の気持ちを考えてウェイトレスをやったらアップグレードされたウェイトレスになれること間違いないです。大局観は早く身に付けることに越したことはないですから、経理事務のキャリアで上を目指すなら早めにCPAの資格を取得してしまいましょう。外資系でキャリアを積むならもちろんですし、日系でも海外で働く場合などはCPAを持っていた方が圧倒的に有利です。ぜひCPAを取得して明るい経理財務のキャリアを積んでいってください!

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ABOUT ME
ようちゃん
こんにちは! 本ブログの運営をしているようちゃんです。 学生時代は部活(水泳部)とバイトに明け暮れ、勉強はほったらかし。大学4年生の時に就活しながら1年生と授業を受ける講義もあり、リクルートスーツを身にまとったおっさんは新入生に白い目で見られながらもなんとか卒業にこぎつけた。 英語が好きだったこともあり、将来はなんとなく海外で働いてみたいなあとぼんやり思っていました。 そこで、大手総合商社を中心に、海外駐在できたり、世界を飛び回れる仕事をやらせてもらえそうな会社を選んではひたすら受けまくりました。 運よく海外に拠点を広げ続けている上場企業の商社に入社できました。 入社前の先輩社員との懇談会で台湾やイギリスなどに駐在経験があった社員から海外駐在時の話を聞くことができ、自分も同じようなキャリアを描けるのかもと社会人人生を楽しみにしていました。 しかし、配属先は経理部に。経理なんてなにをする部署なのかもわかっていませんでした。一体いつになったら海外に行けるのか。そんな不安とともに社会人生がスタートしました。 結局新卒から10年ほど上場企業の正社員として経理部で働きました。その間に紆余曲折がありながらもUSCPA(米国公認会計士)のライセンスを取得。 当時の後輩がインドに赴任したことをきっかけにバックオフィス周りの指導やサポートを行っていました。その後輩は営業経験しかないのに、インド法人を丸ごと任されてしまい、営業以外の仕事をどうしたらいいのか困っていました。私は営業はできませんが、経理を中心とした事務系の仕事はある程度アドバイスできました。当時としては大したサポートにはなっていなかったとは思いますが、それでもとても感謝されました。 そこで思いました。 海外に出ている日本人は同じように困っているに違いない。それなら今の会社だけでなく、たくさんの会社をサポートできるかもしれない。 このインドに放り込まれた後輩をサポートしたことがきっかけで、自分の人生設計を見直した結果、上場企業の正社員という安定した地位を捨て、2015年に突然フィリピンに移住し、海外コンサルタントとして働き始めました。給料が日本にいた時の3分の1近くになって嫁に怒られ、嫁ブロックにあいながらも何とか凌いでいます。 私の予想通り、海外に出た日本人の駐在員は困っていました。 そこで海外コンサルタントの出番です。 日本の常識は海外ではなかなか通じません。 とは言っても、日本のやり方でビジネスを進めていく必要がある場面もたくさんあります。 だからこそ海外コンサルタントは必要なのですが、少子化のせいなのか、若者の海外離れのせいなのか、海外コンサルタントは圧倒的に足りません。 あなたのサポートを待っている企業が必ずあるはずです。 本ブログを通じて、少しでも海外コンサルタントに興味を持ってもらい、海外コンサルタントの世界に参加してくれる仲間が増えてくれれば、駐在している国はもちろん、日本も元気を取り戻してくれることと確信しています。 ぜひ仲間になりましょう!