USCPAのフィリピンライフ
経理業務

上場企業経理はしんどい!キツイ!経理は体力×知力の勝負!興味がないと続かない!

上場企業の経理にお勤めの方の中には、今の苦しい、キツイ、しんどい、忙しい期間が無限に続くのではないかと不安にかられている方もいると思います。経理に転職したいけど、上場企業の経理の仕事がどんなものか知りたいという方もいるでしょう。私の上場企業の経理で働いた経験からそんな方々に参考になればうれしいです。

上場企業がしんどい理由

正直に言います。

私が約10年間、上場企業の経理部で働いた経験からすると、上場企業の経理の仕事は本当に大変です。

苦しいです。

キツイです。

上場企業の経理の方を苦しめる理由は色々ありますが、ザっと並べただけでも以下の理由があります。

体力的

業務量が多い
残業が多い(時間×期間でダメージ大!)
決算という山が必ずある(監査キツイ!期限キツイ!)
税務調査という谷もある(権力怖い!)
なんでもかんでも”経理”の意見を求められる
尻ぬぐいはいつも経理
新人のカバー
退職者のカバー
海外のカバー(海外のグループ会社の決算管理も親会社経理の仕事です)

 

知力的

ルール改定が頻繁
情報や知識のアップデートが頻繁
英語も必要(取引先は世界中に)
専門領域が多い(連結・税務・経費・買掛金など)
カバー範囲が広い(法務やITの知識も必要)

一つ一つの項目について個人的に過去の色々なストーリーはあります。それを語っていると長くなってしまうので、ここでは列挙するだけにしておきます。

こうやって今思い返してみても、よくあんなに長時間のハードワークをこなしていたなあと我ながら感心してしまうくらいです。

もう一回やってくださいと言われても絶対無理です。

それくらい上場企業の経理の仕事はツライのです。

今も一生懸命上場企業の経理で働かれている方には本当に頭が下がる思いです。

これから上場企業の経理に転職しようと考えている方は、上述の内容を見て「こんなに大変なのか・・・」と思われて嫌になってしまうこともあるでしょう。

実際に本当に大変なので、自分は体力的に厳しいかも・・・と思う方は転職しない方がいいかもしれません。

それくらい経理の仕事は甘い世界ではないということです。

”お勉強”ができるだけでは務まらないのが経理。簿記は基礎の基礎!

経理の仕事というと、「簿記」という勉強というか資格を思い浮かばれる方も多いでしょう。

経理の仕事をするなら、簿記を勉強して資格を取ればすぐに経理に転職できて、すぐに働けると。

ところが、残念ながら経理の仕事は資格を取ったからといって、すぐに実務ができるわけではありません。

簿記の勉強というのは、野球で言えば「野球のルールを覚えました」という状態です。

野球のルールについての試験があったら、その試験に合格した、といった程度です。

野球の試合に出るには野球のルールを知っていなければ試合ができません。

しかし、ルールを知っていればヒットが打てるとか、三振が取れるとかそんなことはないですね。

ちょっと強引かもしれませんが、経理の世界も同じようなことが言えます。

簿記を勉強した、簿記の資格を取得したというのは、経理業務の中の”会計処理”というごくごく一分野のルールを覚えた、ということでしかありません

そして野球と同じく、ルールを覚えたことと、実際に実務をこなせることとは天と地ほどの差があります。

つまり、知識を得てもそのまま実務で使えるとも限らないのです。

知識は必要です。

しかし、世の中は教科書通りには動いてくれません。簿記で勉強した内容が必要ではありますが、実際の実務はもっと細かく、複雑で、奥深いものなのです。

簿記の勉強で何度も仕訳を切らされたと思いますが、それは野球で言うところの素振りです。しかし、素振りだけやっていても実際の試合でヒットが打てるわけではありません。

素振りは必要です。

しかし、実戦と並行しなければ意味がありません。

試合で何回ヒットや空振りする経験を持てたかで経理の実務レベルが上がっていきます。

つまり、実戦経験が何よりも大事で、そのため実際に経理の仕事ができるまでに膨大な時間がかかるのです。

そしてそれは毎月、毎四半期、毎年のルーチンワークの繰り返しです。

ルーチンワークなのに、毎回なにかしらの問題が発生します。

その問題を一歩ずつ乗り越えることで経理として成長していきます。

経理の仕事を行うにあたって、簿記に代表されるような勉強はもちろん必要です。

しかし、勉強だけできても仕事が務まらないのが経理の難しいところです。

私としては、経理は職人のようなイメージです。

だからこそ一流の経理員はどの会社でも大事にしたい会社の”人財”なのです。

経理は簿記以外にも勉強すること多し!国際基準、度重なるルール変更、環境変化等々・・・

簿記は経理の仕事の基礎の基礎です。

経理には様々な仕事があり、簿記はその中の記帳業務を行う上での基礎です。

経理部は会社の全ての活動が最終的に集約される部署です。

会社の活動を数字にしたものが経理で作成する会計帳簿だからです。

会社の全活動を最終的に数字として記録しないといけないと聞いただけで大変そうですが、それに加えて記帳業務など経理のメインの仕事にかかるルールや法律がコロコロ変わるのです。税法の改正もあります。

国際的な大きな流れもあるし、日本市場への投資家からのプレッシャーもあります。

そんなルール変更に随時対応しなければならない中で、最近はAIの発達なども経理業務にプレッシャーとなってのしかかっています。

端的に言えば、”そのうち経理業務がなくなる”というものです。

完全になくなるかどうかは置いといて、少しずつ経理に関する業務効率を図っていくことで、経理業務に関与する人数を減らそうという動きになっていることは間違いないでしょう。

もしくは人を関与させなければならないなら、当然人件費の安い場所で作業した方が経営的には楽ですから、東南アジアやインドに業務そのものを持って行ってしまうなんていう話もあります。

経理の仕事は日常から大変なのに、外部環境の変化にも瞬時に対応しなければならず、簿記どころの話ではすまないのが現状です。

これらは自分で勉強しなければならず、仕事の忙しい合間を縫って独学しなければなりません。

最大にキツイこと→褒められない!!減点主義!できて当たり前!

ここまで読んで頂いた現役経理の方なら結構納得頂けるのではないでしょうか。

そして、上場企業経理の一番ツライところ、それは”誰にも褒められない!”ということです。

これ、仕事をやっている方なら分かると思いますが、どんな仕事だってツライし、苦しいものです。

楽な仕事なんてありません。

それでも仕事を続けられるのは、その苦しい先には、お客さんに褒められたり、ありがとうって言われたり、何かしらの”ご褒美”があるからではないでしょうか。

仕事の99%はツライ、苦しいものです。

しかし、わずか1%でも希望があるから人間はその仕事を頑張れるし、逆に1%っていう少ない確率だからこそ燃えるのではないでしょうか。

それを実際に達成できた時はとても感慨深いものがあるでしょう。

しかし!

経理についてはこの1%もないのです。

なぜなら、経理というのは”できて当たり前”、”やって当たり前”だからです。

仕訳を切れた!
決算を締められた!
残高が合致した!

これは経理の仕事上とても大事なことで、かつ価値が高いものです。

ところが、経理を知らない人からすると、

「で?」
「だからどうした?」
「経理なんだから当たり前じゃん」

となってしまうんですね・・・。

つまり、経理の仕事は「100点から評価が始まる」ということです。

逆に言えば、”1円でもミスったらアウトー!”なのです。

私の前職の会社が営業主体の会社だったからかもしれませんが、営業は売上を上げたらメチャクチャ褒められるんですねえ。

でも経理からすれば、営業は売上を上げるのが仕事なんだから、売上を上げるのは当たり前だと思ってしまう。

営業は売上を上げて褒められる、でも経理は決算を締めても褒められない・・・。

なんでだー!?営業うらやましいー!

なんてずっと思っていました。

経理はコストなんだから残業すんな!

とか

経理が動くと会社が損する!

とかそういう感じで見られるんですね。

営業が売上上げてボーナスもアップするなら、経理も決算締めたらボーナスほしいですよねえ。

こういった経理という仕事の独特な性質に由来する減点主義というかできて当たり前とみられる環境はかなりキツイものがあります。精神的に堪えますね。

だからこそ黙々と文句も言わずに経理の仕事に邁進されている方は非常に心強いと思いますし、そういう方がいるからこそ会社が回っているとも言えます。

会社の縁の下の力持ち。

それが経理という仕事なのです。

【結論】興味がないと続きません!もうダメかも・・・と思ったら判断を!

ここまで読んで頂くと、経理ってとても厳しい仕事なんだなあという印象を持たれることでしょう。

それはその通りで甘い世界ではありません。

仕事量は多く、前提知識と経験値が必要で、かつその知識は常にアップデートしていかなければ取り残されてしまうという世界です。

しかし逆に言えば、それだけ優れた事務処理能力がある方なら転職先も多いということです。

ここまで実践を繰り返してきた方ならどの会社も欲しいと言ってくれます。

そういう意味では経理でそれなりに鍛え方は、ぜひ次のステップを狙って見るのもアリと思います。

私は上場企業の経理で約10年経験したあと、USCPAとEAを取得してフィリピンに移住しました。

今はこれまでの経理の経験を活かして、現地の日系企業の経理業務のサポートをしています。

経理の仕事中では想像できなかったような嬉しい出来事も多く、経理をやってきてよかったなと今は思います。

しかし、もう一回経理をやってと言われたら無理です。

それくらい経理という仕事はつらかったです。

ですから、今経理の仕事をされている方もいつかは報われると思いますし、今の頑張りは無駄にはなりませんので、ぜひ自信を持って頑張ってほしいと思います。

これから経理を目指すような経理未経験の方であれば、経理は大変な仕事ですが大きな経験値を得られる仕事ですので、気持ちに整理がついた方はぜひチャレンジしてみてください。

応援しています!

ABOUT ME
ようちゃん
こんにちは! 本ブログの運営をしているようちゃんです。 学生時代は部活(水泳部)とバイトに明け暮れ、勉強はほったらかし。大学4年生の時に就活しながら1年生と授業を受ける講義もあり、リクルートスーツを身にまとったおっさんは新入生に白い目で見られながらもなんとか卒業にこぎつけた。 英語が好きだったこともあり、将来はなんとなく海外で働いてみたいなあとぼんやり思っていました。 そこで、大手総合商社を中心に、海外駐在できたり、世界を飛び回れる仕事をやらせてもらえそうな会社を選んではひたすら受けまくりました。 運よく海外に拠点を広げ続けている上場企業の商社に入社できました。 入社前の先輩社員との懇談会で台湾やイギリスなどに駐在経験があった社員から海外駐在時の話を聞くことができ、自分も同じようなキャリアを描けるのかもと社会人人生を楽しみにしていました。 しかし、配属先は経理部に。経理なんてなにをする部署なのかもわかっていませんでした。一体いつになったら海外に行けるのか。そんな不安とともに社会人生がスタートしました。 結局新卒から10年ほど上場企業の正社員として経理部で働きました。その間に紆余曲折がありながらもUSCPA(米国公認会計士)のライセンスを取得。 当時の後輩がインドに赴任したことをきっかけにバックオフィス周りの指導やサポートを行っていました。その後輩は営業経験しかないのに、インド法人を丸ごと任されてしまい、営業以外の仕事をどうしたらいいのか困っていました。私は営業はできませんが、経理を中心とした事務系の仕事はある程度アドバイスできました。当時としては大したサポートにはなっていなかったとは思いますが、それでもとても感謝されました。 そこで思いました。 海外に出ている日本人は同じように困っているに違いない。それなら今の会社だけでなく、たくさんの会社をサポートできるかもしれない。 このインドに放り込まれた後輩をサポートしたことがきっかけで、自分の人生設計を見直した結果、上場企業の正社員という安定した地位を捨て、2015年に突然フィリピンに移住し、海外コンサルタントとして働き始めました。給料が日本にいた時の3分の1近くになって嫁に怒られ、嫁ブロックにあいながらも何とか凌いでいます。 私の予想通り、海外に出た日本人の駐在員は困っていました。 そこで海外コンサルタントの出番です。 日本の常識は海外ではなかなか通じません。 とは言っても、日本のやり方でビジネスを進めていく必要がある場面もたくさんあります。 だからこそ海外コンサルタントは必要なのですが、少子化のせいなのか、若者の海外離れのせいなのか、海外コンサルタントは圧倒的に足りません。 あなたのサポートを待っている企業が必ずあるはずです。 本ブログを通じて、少しでも海外コンサルタントに興味を持ってもらい、海外コンサルタントの世界に参加してくれる仲間が増えてくれれば、駐在している国はもちろん、日本も元気を取り戻してくれることと確信しています。 ぜひ仲間になりましょう!