ビジネス環境

フィリピンでの仕事の進め方(日本人顧客向け、期待ギャップを防ぐ)

フィリピンで仕事をする人たちには、2種類のタイプがいるような気がしている。

1つは、日本から送り込まれた駐在員で、日本の親会社のために働いている日本人である。

もう1つは、フィリピンの現地に馴染んだフィリピン人っぽい日本人である。

どちらも日本人の方であることには変わらないが、大きな違いがあると思う。

それは、「日本のビジネス感覚で仕事をしているか」ということである。

ちなみに、ここで私がどちらが優れているかと、どちらかがダメだということを言いたい訳ではない。

なぜならそれは「相手が何を求めているか」によるからである。全ては相手次第だ。相手が要求していないのにわざわざ与える必要はないと思っている。

日本のビジネス感覚

例えばこういうところかと思う。

納期の提示

提示した納期の厳守

口約束はれっきとした約束である

メールに返信する

メールのレスポンスは速く

質問されたら、質問に対する回答をする

会話は短く、簡潔に

相手の言うことを聞く

挨拶する(おはようございます、お疲れ様でした)

待ち合わせは時間を決める

決めた時間は守る

決めた時間を守れなかったら謝る

万が一遅れそうなら事前に連絡を入れる

行動する前に計画を立てる

仕事の進捗を管理する

間違えたらとりあえず謝る

間違いを自分で見つけたら報告する

自分の仕事が進まなかったら相談する

自分の仕事が終わったら報告する

自分の仕事が終わっても、同僚が残っていたら手伝う

もっと「日本での常識」はあるかもしれないがざっとこんなところだ。

皆さんどうだろうか。「そんなの当たり前じゃん!」と思っただろうか。そう思ったあなたは日本のビジネス感覚がある方だ。ぜひそのまま続けて頂きたい。

というのも、フィリピンにいると、段々これらの感覚がズレていくような気がする。それも大よそ10年もすれば、だいぶズレてくると思っていい。私は5年になるが、気を付けてはいるものの、相当ズレてきているという予感がする。クライアントから指摘されるまで気が付かないこともある。クライアント怒られているが、怒ってくれるクライアントほどありがたいクライアントはいない。そういうクライアントとは仲良くなったりするのでとても有難い。自分の軸を正してくれながらもお金を払ってくれるのだから。

でも、ズレていく理由も分かるのだ。なぜならそんなこと全部守っていたら精神的に持たないからだ。そうやって精神を恐し、日本へ帰国せざるを得ない日本人が山ほどいる。それくらいフィリピンで働くことはストレスが多いのだ。だから、何年にも渡ってフィリピンで仕事をしている日本人はよっぽど強靭な精神力の持ち主か、日本人のビジネス感覚を妥協してフィリピン人寄りになってきているかのどちらからと思う。しかも、日々少しずつ変わっていくので自分ではズレてきているという感覚はない。だから怖いのだ。

では先程のリストをフィリピン人流ではどうなるのか見ていこう。あくまで私見なのでご注意ください。かつ個人差がありますのでフィリピン人全員というわけではありません。

納期の提示

フィリピン流:しない。いつ終わるか想像しないため。

提示した納期の厳守

フィリピン流:納期がないから厳守もしない。仮に納期が相手によって示されたとしても、OKと言って始める。別に納期を意識していないので遅れる確率が高い。納期という言葉は理解されていないため納期が遅れても特に何も起きない。急ぐこともない。納期とは何かをきちんと伝えることが必要だ。というわけで、納期に終わってなくても残業はしません。普通に5時にさようならって帰宅します。

口約束はれっきとした約束である

フィリピン流:口約束は口約束である。約束は契約書に書かれていることだけだ。ちなみにフィリピン人のリップサービスはすごいです。

メールに返信する

フィリピン流:都合の悪いことには返信しない。意味不明なメール(相手の言いたいことが分からないメールとか)にも返信しない。あえて「どういう意味ですか?説明お願いします」とかいう連絡もない。返信がない=理解していないと考えよう。

メールのレスポンスは速く

フィリピン流:自分が返信したいことには返信する。速く返信しないとという感覚はない。返信したいときに返信する。返信したいことにだけ返信する。

質問されたら、質問に対する回答をする

フィリピン流:質問をしたのに、質問に対する答えを書かない、もしくは文章が長い場合は、質問の意味が分かっていないか、そもそもその質問に対する回答を知らない。短い返答でなければ相手は分かっていないと考えよう。

会話は短く、簡潔に

フィリピン流:上述に関連するが、話が長い時は自分が知らない、分からないことであることが多い。言い訳も多いのでポイントを掴むように聞くこと。

相手の言うことを聞く

フィリピン流:自分を守るモードに入っている場合は人の話は聞かない。常に音便に会話することが大切だ。

挨拶する(おはようございます、お疲れ様でした)

フィリピン流:最初だけ。慣れてくるとしない。

待ち合わせは時間を決める

フィリピン流:時間は決めない。だって時間通りにならないから。せいぜい午前中とか午後とかその程度。

決めた時間は守る

フィリピン流:上述の決め方ですら守られないことも。ドタキャン、遅刻は当たり前。だって渋滞だもん。渋滞を考慮して家を出るとかそういう感覚はない。

決めた時間を守れなかったら謝る

フィリピン流:渋滞のせいなので自分のせいじゃないと思っている。だから謝るわけがない。

万が一遅れそうなら事前に連絡を入れる

フィリピン流:渋滞だから遅れる。相手も分かってるから気にしない。これがフィリピン流。

行動する前に計画を立てる

フィリピン流:計画は立てません。どうせ計画通りいかないから。最初からあきらめているので本当に計画通りにいかない。だから計画を作ることに意味を感じていない。

仕事の進捗を管理する

フィリピン流:上述の通り、計画がないから管理もしません。だっていつ終わるかなんて分からんからと諦めている。できた時ができた時よ。

間違えたらとりあえず謝る

フィリピン流:謝ったら最後、首にされるかもしれないっていう感覚がある。従って謝らない。自分のせいだと思っていない。自分のせいなのに何かのせい、誰かのせい、政府のせい、天気のせいになります。

間違いを自分で見つけたら報告する

フィリピン流:しません。だって首になっちゃうもん。会社より自分、クライアントより自分。

自分の仕事が進まなかったら相談する

フィリピン流:しません。自分の能力が足りてないことがバレて首になっちゃうもん。会社より自分、クライアントより自分。

自分の仕事が終わったら報告する

フィリピン流:しません。おい!終わったんなら報告しろ!って怒ったところで、終わったんだから文句ないっしょって威張るだけ。できたときはめっちゃ主張してくる。給料アップお願いねって感じ。

自分の仕事が終わっても、同僚が残っていたら手伝う

フィリピン流:自分の仕事が終わったら、周りがどんだけ忙しそうにしていようとも「おさきー!」って帰ります。空気を読むとかチームワークとやらはほぼなし。手伝う文化はありません。手伝おうもんなら「給料上がりますか」とくるので、静かにしておこう。

どうでしょうか。分かりやすくするためにちょっと大げさに書いたところもあるかもしれませんが、フィリピンで働いたことある日本人の方なら大きく首を縦に振って頂ける内容ではないでしょうか。

しかし、私はあえてこれを「悪い」とは言いません。

ある意味日本がすごすぎるんです。日本があれほど発展したのもよく分かります。だから日本の常識は世界の非常識とか日本人はワークホリックだとかいじめられるわけです。でも日本で働いていたら全て当たり前ですよね。だからその当たり前をフィリピンに持ち込んでしまうとあまりにもギャップが大きすぎて精神が追い付かなくなってしまうんです。でもよく分かります。ですから、ある程度肩の力を抜いて仕事ができる人でないとつらすぎます。

とは言っても、日本の感覚で仕事をしようとしてくる親会社や日本のお客様と仕事をするのであれば、やはり「日本のビジネス感覚」で仕事をすることが求められるわけです。

防げ!期待ギャップ!

私も最初は日本のビジネス感覚を持ってフィリピンで仕事をしていました。しかし、それではフィリピン人には嫌われるし、うまくいかないし、本当に大変でした。

しかし、数年働いてみて少し分かったことがあります。

それは、「期待ギャップ」です。

つまり、日本のビジネスマンは日本の常識でビジネスを進めようとしてきます。まあ当たり前ですね。というか「日本のビジネス感覚で仕事していきましょう」なんて言われませんよ。そんな感覚があること自体日本のビジネスマンは知りませんから。でもフィリピン人の感覚と日本人の感覚は全然違うんです。どちらかが良いとか悪いとかそういうことではなくて、違いは違いとして両者が理解しておかなければならないことです。

そう、この違いがあるから、日本のビジネスマンもフィリピン人もストレスをか書けることになるんです。

だったら、最初からこの違いを分かってもらっていればいいのでは?と考えました。

ということで、ことあるごとに、フィリピンのやり方を”洗脳”していくんです。

でも、完全なフィリピン流でやるわけにはいきません。でも完全な日本流でやるにも無理があります。そこで、うまい具合にミックスするということを思い付きました。

例えば、「納期を決める」ということについて、日本流に納期自体はちゃんと決めます。しかし、うんと余裕をみるわけです。そしてさらに、「納期は事情によって前後します。理由は〇〇だからです」ときちんと納期が動く可能性があることを先に伝えます。

そう、先に伝えていれば問題ありません。納期間際になって「やっぱり無理そうです」っていうのはNGです。日本流では失格です。しかし、先に伝えておけば、「あー、やはり厳しかったですか、分かりました」くらいに収まるでしょう。結果が同じ「遅れ」なのにこれだけの反応の違いが出るわけです。

上司に教えてもらったことがあります。

先に伝えていれば、「ありがとう」と感謝されるが、後で伝えれば「言い訳」にしかならない。

ということで、この日本とフィリピンのビジネス感覚のギャップを”先に”相手に伝えておくことで、「あー、フィリピンってそういう感じなのねー」ということで、こちらに有利に展開できるようになるわけです。

これは全て「最初の計画」がものを言います。

これがしっかりしていなければ話になりません。

従って、この「計画」を作るところは日本人がやった方がいいでしょう。フィリピン特有の”遅れ”もちゃんと予想して織り込みます。それでも読み切れない部分はちゃんと「読み切れない」と相手に伝えておくことです。

そして何より大事なのはマメに連絡することです。進捗を随時報告することで相手も安心します。何もなくても「進捗ありません」という連絡をするだけでも相手は安心するものです。

この日比のビジネス感覚の違いは、フィリピン人スタッフにもちゃんと教えます。日本人はこういう感覚だからこうしてほしいとしっかり伝えるようにします。

フィリピン人も理解力はありますから、少しずつ日本流にも慣れてくるでしょう。

日本人って細かくてめんどくせーなーってよく思われていると思います。

そう!日本人は面倒なんですよ!でも私はこの面倒な国民性を誇りに思っています。これがあったからこそ戦後日本は瞬く間にジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるまでになりました。アメリカがビビったくらいです。フィリピン人には理解できないでしょうが理解できなくていいんです。私がフィリピン人を理解できないのと同じですから。でもお互いがコミュニケーションをしっかり取って、お互いの違いを認め、主張を認め合って、時には妥協して協力していけばもっといい関係が築けると信じています。

文句を言っているように聞こえるかもしれませんが、フィリピン人は優しい国民性です。相手を傷つけることを嫌います。だから相手の要望にはできるだけ応えようとしてくれます。日本の家族経営はフィリピンではピッタリでしょう。だからこそ日本人のリーダーシップによってフィリピンも日本も共に発展していけるよう日々頑張っているところです。

頑張れ!フィリピン!

ABOUT ME
ようちゃん
こんにちは! 本ブログの運営をしているようちゃんです。 学生時代は部活(水泳部)とバイトに明け暮れ、勉強はほったらかし。大学4年生の時に就活しながら1年生と授業を受ける講義もあり、リクルートスーツを身にまとったおっさんは新入生に白い目で見られながらもなんとか卒業にこぎつけた。 英語が好きだったこともあり、将来はなんとなく海外で働いてみたいなあとぼんやり思っていました。 そこで、大手総合商社を中心に、海外駐在できたり、世界を飛び回れる仕事をやらせてもらえそうな会社を選んではひたすら受けまくりました。 運よく海外に拠点を広げ続けている上場企業の商社に入社できました。 入社前の先輩社員との懇談会で台湾やイギリスなどに駐在経験があった社員から海外駐在時の話を聞くことができ、自分も同じようなキャリアを描けるのかもと社会人人生を楽しみにしていました。 しかし、配属先は経理部に。経理なんてなにをする部署なのかもわかっていませんでした。一体いつになったら海外に行けるのか。そんな不安とともに社会人生がスタートしました。 結局新卒から10年ほど上場企業の正社員として経理部で働きました。その間に紆余曲折がありながらもUSCPA(米国公認会計士)のライセンスを取得。 当時の後輩がインドに赴任したことをきっかけにバックオフィス周りの指導やサポートを行っていました。その後輩は営業経験しかないのに、インド法人を丸ごと任されてしまい、営業以外の仕事をどうしたらいいのか困っていました。私は営業はできませんが、経理を中心とした事務系の仕事はある程度アドバイスできました。当時としては大したサポートにはなっていなかったとは思いますが、それでもとても感謝されました。 そこで思いました。 海外に出ている日本人は同じように困っているに違いない。それなら今の会社だけでなく、たくさんの会社をサポートできるかもしれない。 このインドに放り込まれた後輩をサポートしたことがきっかけで、自分の人生設計を見直した結果、上場企業の正社員という安定した地位を捨て、2015年に突然フィリピンに移住し、海外コンサルタントとして働き始めました。給料が日本にいた時の3分の1近くになって嫁に怒られ、嫁ブロックにあいながらも何とか凌いでいます。 私の予想通り、海外に出た日本人の駐在員は困っていました。 そこで海外コンサルタントの出番です。 日本の常識は海外ではなかなか通じません。 とは言っても、日本のやり方でビジネスを進めていく必要がある場面もたくさんあります。 だからこそ海外コンサルタントは必要なのですが、少子化のせいなのか、若者の海外離れのせいなのか、海外コンサルタントは圧倒的に足りません。 あなたのサポートを待っている企業が必ずあるはずです。 本ブログを通じて、少しでも海外コンサルタントに興味を持ってもらい、海外コンサルタントの世界に参加してくれる仲間が増えてくれれば、駐在している国はもちろん、日本も元気を取り戻してくれることと確信しています。 ぜひ仲間になりましょう!