USCPAとはアメリカの公認会計士の資格のことです。
日本では米国公認会計士と呼ばれています。
USCPAは経理職や財務職の方のスキルアップ資格として注目され、今では海外移住したい方など海外に関わる仕事をしたい方に人気です。
しかし、最近はUSCPAの仕事はAIに取って代わられるのではないかとUSCPA無用論が取りざたされています。
これは本当なのか。
私自身もUSCPAとして海外で働いている一人として考えてみたいと思います。
【結論】AIやロボットにできない人間らしい分野に集中すべし
最初に言っておきたいのですが、USCPAは使えないとかUSCPAは意味ないという方がいます。
USCPAは経理職や財務職で働くための資格ではありませんから、USCPAを取得したからといって、次の日からいきなり経理部や財務部で働けるようになるわけではありません。
経理や財務は専門職ですから、伝統芸能のように(ちょっと違うかもしれないけど)日々の経験値の積み上げが大事な仕事です。
伝統芸能には資格やライセンスなどありません。
漆の塗り方は教えてもらえれば誰でもわかります。
しかし実際にその通りにきっちり塗れるかどうかは日々の絶え間ない努力と経験値がなせる業であり、塗り方がわかったところで職人のように塗れるわけではないのです。
経理職や財務職も同じようなことが言えます。
USCPAを勉強した方であれば経理の仕事や財務の仕事の内容は分かるはずです。
しかし、頭でわかっているだけでは経理や財務の仕事は務まらないのです。
これがUSCPAは使えないという風評を生んでいる気がしてなりません。
USCPAは経理職や財務職を育てるための資格ではありませんから、USCPAを取得したからといって経理や財務の仕事ができないのは当たり前なのです。
ではUSCPAは意味ないのか。使えないのか。
決してそうではありません。
確かにUSCPAは経理や財務のような専門的な職人技を必要とするような仕事はできません。
しかし、USCPAは経理や財務にとどまらない幅広い知識を吸収しています。
ですから仕事の効率化や部門をまたぐような大きな仕事において威力を発揮すると考えます。
【理由】人間にできてAIやロボットにできない分野がある
ではUSCPAが発揮できる能力とは何でしょうか。
仕事の効率化ということで言えば、例えば経理の人は1分間に数多くの仕訳を切ることができます。
電卓をたたくスピードも半端じゃないです。
私も新入社員で経理に配属されましたからよくわかりますが、3年目くらいのベテラン女性社員は、伝票を見ながら左手で電卓をたたき、右手で会計システムに仕訳を入力するという荒業をやっていました。
机の上に置かれた山盛りの伝票をいとも簡単に入力処理ができてしまうんです。
これには驚きました。
と同時に自分にはできないという悲しい気持ちになりました。
あれこそ専門職というか職人技です。
USCPAごときがあの伝票処理スピードに勝てるわけがありません。
本当にすごかった・・・。
ではUSCPAや私みたいな一般男性諸君は会社に必要ないのでしょうか。
左右の指を滑らかに器用に動かせる女性社員がいれば会社は回るのでしょうか。
実はそうでもないんです。
伝票を打つことにおいては右に出るものがいない女性社員ですが、一日中伝票を早く打つことだけに集中して仕事をしているわけです。
いかに早く伝票を入力できるか。
そのことに一点集中しているわけです。
さて、USCPA保有者はそのような社員の姿を見てどう考えるでしょうか。
「大変そうだなあ」
「お腹空かないのかなあ」
「指痛くならないのかなあ」
「計算を間違えたりしないのだろうか」
「指が滑って隣のボタンを押してしまったりしないのかな」
まあ、くだらないことからもっともらしい心配まで色々考えるでしょう。
そうです!
こういう思考ができることこそUSCPAに価値があります。
もっと引いてみれば、人間がやっている以上限界があります。
いくら伝票入力が速いとはいえ、人の指が動いている以上、ある一定以上の枚数は絶対に越えられないわけです。
例えば、熟練した経理部社員は1時間に伝票を80枚入力できるとします。
80枚までは1名で大丈夫ですが、もし81枚になったらどうでしょうか。
どう頑張っても1人では80枚しかこなせないなら、2名にするしかありません。
そうなれば、人件費が倍になるのです。
こういう時にUSCPAの出番です。
「1名が90枚こなすにはどうしたらいいか」
「そもそも人が入力すること自体やめられないか」
「というか入力という業務自体を回避できないか」
こういう発想ができるのがUSCPAなのです。
日々いかに伝票を早く入力するかを考えている社員にはこのような発想は出てきません。
なぜなら上述に示した思考は、伝票入力自体をも否定しかねない発想だからです。
つまり、自分の仕事を全否定することになるのです。
自分がいなくなっても仕事が回るようにするにはどうすればいいのかという発想は自分では難しいものです。
ここにこそUSCPAの価値があると考えます。
人間の価値を再考し、集中投資することで脅威をチャンスに
仕事をなくす。
これが究極的な業務効率化です。
一番振り切れた思考だと思います。
こういった思考は機械やAIにはまだできません。
今ある仕事をなくすという発想は人間にしかできないでしょう。
逆に時間効率を上げることはAIや機械の得意分野です。
さっきの例で言えば、1時間80枚の伝票をこなせる経理のプロがいるとします。
1時間80枚の伝票をこなせるようになるまでに10年かかるかもしれません。
日々指先のケア、しっかり電卓を打ち込める指も関節力も必要かもしれません。
そして伝票を間違いなく読み取って指に連携する集中力も必要でしょう。
こんなプロを量産しないと経理という仕事が回らないのは大変なことです。
しかし、こういう仕事はAIや機械が得意です。
今では伝票を読み取るための画像技術が進歩しています。
コンビニのレジ打ちのように、伝票をスキャナーで読み取れば、AIが伝票の内容を認識し、それを会計システムに連携して仕訳まで起こしてくれる時代になっています。
これが進化していけば、伝票入力の仕事は伝票をスキャンするだけになっていくことでしょう。
スキャンはせいぜい1秒です。
そうなれば1時間に3,600枚の伝票を処理することができるようになります。
ベテランの10年選手が1時間80枚でしたから雲泥の差です。
しかもスキャンするだけですから経理の知識は不要です。
これがもっと進化すれば、伝票を積み上げておくだけで勝手にロボットがスキャンしてくれるようになるかもしれませんし、そうなる前に伝票という紙自体がなくなって、すべてパソコンの中での処理に変わるかもしれません。
そうなれば、そもそもの経理という仕事がなくなる可能性もあります。
上述に示した例はほんの一例ですが、各業務でこのような現象が起きていくことでしょう。
しかし、業務の設計や業務を止めるなどの判断を伴う仕事はやはり人間にしかできないものです。
それは判断には無数の変数が絡んでくるので、AIや機械ができるようになるにはもっと条件を絞らなければならないからです。
それに人間の判断には心理的な部分も大きく作用しますから、心がないマシンには人間のような判断は下せないのです。
このように大量に素早くこなすような仕事はAIや機械にどんどん置き換わっていくことでしょう。
しかし、仕事そのものを継続する、やめる、置き換える、など判断が伴う仕事は人間の仕事として残り続けることになります。
このような判断ができるようになるためには、非常に多くの知識と経験が必要です。
判断するためには適当にやってもダメで、あらゆる可能性を考え、それぞれの選択肢についてメリットデメリットなどを考慮した上で決めていくことが求められるからです。
業務を効率化するといっても、人を教育する、人を増やす、組織をいじる、機械化する、業務をやめる、など様々な選択肢がある中で今の会社の実力、将来性、資金力など総合的に考慮した上で決定することになるわけです。
これらは総合的な知識や経験がないと判断できないわけですから、このような判断を下せる人は今後人的価値が飛躍的に向上することでしょう。
課題は日本や海外など共通しています。
ですからこういった人材は国内外問わず高く評価されます。
USCPAはこうした人材になるポテンシャルがあるのです。
USCPAで培った知識を総動員して、鳥の目になって効率化に対する提案を行っていってください。
業務を効率化することに貢献するような仕事は今後益々需要が高まり、伸びていくことになります。
まとめ:本質的な業務に集中するチャンスととらえてチャレンジ!
USCPAは意味ない、USCPAは使えない。
そういった声をはねのけてUSCPAが生きるべき道を探ってもらえる機会になったらなあと思います。
USCPAは日本国内にとどまる必要もありませんし、働く場所は問いません。
どの会社でも国籍を問わず業務効率化をテーマにした課題はあるはずですから、どこの会社に入っても貢献できるポテンシャルはあるのです。
将来海外でも働いてみたい、外資系の会社で経験を積んでみたい。
そんな方はぜひUSCPAを取得するべきです。
以下から資料を取り寄せてください。
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