急な人事異動は会社につきものですが、海外赴任ともなれば重みが違います。
住む場所は変わるし、家族がいる方は家族の生活にも影響が出ます。
考えなければならないこと、決めなければならないことがありすぎて大変です。
海外転勤ですから現地で使用する言葉も違いますが、ビジネスでは概ね英語が使われますので英語はある程度できていた方がいいです。
とはいえ英語が得意な方ばかりではないでしょうから、英語ができないといけないとは分かっていても、どうしたらよいのか分からないことも多いです。
ここでは海外転勤者がまず最初に準備すべき英語力について解説します。
海外転勤者が準備すべき英語力とは?
英語力と言っても色々あります。
その中でも海外転勤者に必要な英語力はスピーキング力です。
海外赴任する方は赴任後概ね職位が高いポジションに就きます。
そうなると、主な役割は「指示出し」と「利害調整」が仕事になります。
意外かもしれませんが、日本人が海外で社内以外で現地の方に直接話をするケースはあまりないです。
現地には現地の社員がいますから、相手が日本人でない限りはその現地の社員が社外のカウンターパートになります。
例えば、「指示出し」の例はこうです。
私はフィリピンに駐在していますが、私の会社にもフィリピン人の社員がたくさんいます。
顧客は日系企業ですので、顧客の社長は日本人ですが、それ以外はフィリピン人です。
私は営業の責任者でもありますから、顧客に営業に行く場合、日本人だけに会いに行く場合を除いて必ずフィリピン人の社員に同行してもらいます。
そして、顧客にはフィリピン人の社員から顧客に説明してもらうのです。
この場合、会議での言語は基本的に英語になります。そして、フィリピン人の社員から顧客の日本人にも英語で説明してもらいます。
しかし、専門的な内容や少し複雑で分かりにくい話でかつ相手の日本人がちょっと理解できていないような様子があれば、私がすかさず相手の日本人に日本語で説明するのです。
このように私が顧客に対して英語を使う機会はそれほど多くありません。
では英語は不要なのか。
そうではなくて、この会議を行う前に、自分の会社の社員に対して「今日の顧客訪問の目的は〇〇だから○○の説明をして、○○という結論に持って行ってほしい」と事前に伝えておくのです。
この自分から自分の会社の社員に対する事前説明は英語で行うことになるのです。
これが実際に英語が必要になる場面である「指示出し」です。
次に「利害調整」の例です。
どこの国に赴任するにしても、必ず日本の習慣や文化とは違うものです。
日本の常識が一歩日本を出れば常識ではなくなります。
しかし、日系企業の顧客は日系企業が多いものです。そうなると、どこの国に行っても日本にいる時と同じような常識ややり方が求められるのです。
つまり、日本の習慣を当たり前だと思っている顧客側と、現地で活動している企業側とはそもそもの考え方が違うのです。
日本には日本のやり方があり、現地には現地のやり方があります。
しかし、日系企業としては「顧客第一」なので顧客のやり方に合わせざるを得ません。
この発想こそがすでに日本的な発想なのですが、顧客第一主義を現地の社員に伝えたところでほとんど通じないです。言語の問題ではなく、体で認識できないのです。
そこで、日本人駐在員の出番です。
顧客の日本の常識を理解しながら、現地をなるべく日本側の意向に合わせて動かすのです。
例えば、私が赴任しているフィリピンでは、政府機関が期日を守ったり、どれくらいの処理日数がかかるかきちんと読めません。
しかし、日本では即日、遅くても数日で事務処理は終わるでしょうから、「いつ終わるか分からない」というのは許されないのです。
しかし、これを「いつ終わるかは分かりません」と現地の言い分に沿って日本側に伝えたところで信頼を失うか、「この会社は大丈夫か」と疑われるのがオチです。
ここで大事になってくるのが調整能力なんです。
つまり、日本側の意向をくみ取りながらも、現地部隊をそれにできるだけ沿うように可能な限り動かすのです。
政府機関の動きが分からないなら、政府機関の偉い人に会って話を付けて、目安をもらうとか、社内の仕事であれば、誰が何日費やせば完了できるのかを調整したりとか、そういう「調整業務」を行うことが駐在員の役目です。ここでも自社の現地社員との会話がメインですからここで英語を使います。
このように、英語を使う機会は多くの場合、「指示出し」と「利害調整」にあります。
ですから、自分から発信するスキル、スピーキング力が何よりもまず最初に求められるのです。
実はスピーキング力があれば、リスニング力はそれ以上にありますので、スピーキング力を高めることが自然とリスニング力を高めることにもなります。
しかし、この逆は成り立ちませんので、聞いてるだけではいつまで経っても話せるようにはならないのです。
ここが学校英語の弊害ですね。
まあ学校英語はそもそも話せるようになることを目的としていないので仕方がないですが。
海外駐在員に必要な「発信力」は海外転勤までに伸ばせるのか?
海外転勤者に求められるのはまずは「発信力」であることがお分かり頂けたと思います。
「発信力」が大事なことが分かったところで、海外転勤までの短い期間で発信力を伸ばせるのか。
実は発信力は短期間で「伸ばせる」のです。
なぜかと言えば、発信力とは今現在自分の頭の中にあるストックから適切だと思う単語やフレーズを取り出す作業だからです。
ただ、取り出すだけでもいいですし、頭の中にある単語やフレーズを組み合わせてもOKです。
つまり、既にあるストックの中から、引っ張り出すだけですので、何かを覚えるということではありません。
ただ、だいぶ前にストックしていたり、あまり使ってこなかった場合は、ストックはあるものの取り出すのに時間がかかったり、うまく取り出せなかったりすることもあるでしょう。
だからこの取り出す作業を練習するんです。
場面ごとに素早く、かつ適切に取り出す訓練をするということです。
そして、自分の「型」を見つけ出すのです。
必要な学習期間は1ヶ月~3ヶ月で十分です
発信力は自分の既知の情報から素早く適切に取り出せる能力のことですから、練習期間は1ヶ月~3ヶ月で十分でしょう。
この間なにをすればいいかというと、自分の「型」を固めることです。
例えば、こんな感じです。
初めて会う人に対して→ Hello, how are you?
あなたの言ってることが分かりません。→ I don’t get it.
それはどういう意味ですか?→ What do you mean?
もっとゆっくり話してください。→ Please speak slowly
まあ、これだと教科書みたいですね。
私なんかはもっとラフです。
例えばこんな感じで。
初めて会う人に対して→ Hi, nice to meet you.
あなたの言ってることが分かりません。→ what what??
それはどういう意味ですか?→ you mean what?
もっとゆっくり話してください。→ slowly please.
英語としては正しくないです。
しかし、実際の会話なんてこんなもんです。
これで十分「意図」は通じます。会話ですから意図が通じれば十分じゃないですか。
誤解を恐れずに言えば、日本人は間違えることをとても恐れているように思います。
常に正しく話さないといけないと思っている気がします。
でもよく考えてみてください。
日本人にとっては英語は外国語です。
外国語なのだから話せなくて当然です。できなくて当たり前です。
そんなできなくて当然なことを少しでもできるんですからすごくないですか!?
日本人なら外国人が少し日本語で挨拶ができたら日本語ができてすごいねえって思いますよね?
日本人もこの感覚でいいと思うんです。
外国人が日本語を話して、少し間違えたからって気にしますか?日本人なら全く気にしませんよね?
それは英語を話す日本人が英語を少し間違えたり、下手だったとしても相手は何とも思わないものです。
それよりも、「会話」ができるようになることを目指してください。
つまり、相手との意思疎通ってことです。意思疎通ができれば多少間違えたっていいんです。
このように、自分の「型」の英語を身に付けること、そして「この英語でいいんだ」という自信を付けるのに、1ヶ月~3ヶ月で十分ということです。
この自信が海外転勤を気持ち的に楽にしてくれますよ。
海外転勤後はひたすら実践して自信を付けていこう!
とは言っても、いつまで経っても間違いだらけの英語じゃ嫌ですよね。
でも余裕がない方は自分の型を維持することでもいいと思います。全然悪くないです。
きっとその型でやっていける自信が付いたならそれを使い続けるのも一考です。
しかし、人間というのは一度うまくいくと、もっと上を目指したくなるものです。
そうなったら、色々型を崩していくのもいいと思います。
さっきの例で言えばこんな感じでしょうか。
初めて会う人に対して→ Hello, How do you do?
あなたの言ってることが分かりません。→ I don’t know what you are talking about.
それはどういう意味ですか?→ Could you rephrase it?
もっとゆっくり話してください。→ Could you speak more slowly?
ちょっと硬めの表現かもしれませんが、フォーマルなバージョンということで、自分のストックにしてもいいかもしれません。
言語というのは同じ言い方でも様々な表現方法があります。
まずは自分の型を固めて何度も実践して自信を付ける。この方で通じるという自信が付いて、その型に飽きたら別の表現も取り入れてみる。
相手の発言内容をパクってもいいでしょう。
相手の会話している最中に、「あ、その表現かっこいいな!」とか「その表現は使いやすそうだな、言いやすそうだな」みたいな表現が出てきたら、すかさずメモを取って、何度も繰り返して自分でも使ってみてください。
それが新たにあなたのストックになり、表現が広がりますね。
これを繰り返していけば、あっという間に英語がうまくなります。
しかも実践的な英語ですからその頃には日常生活で困ることはないでしょう。どんどん上達していけます。
まとめ:まだ間に合う!やるべきことを絞って海外転勤までに飛躍的な英語力アップを実現しよう!
いかがでしたでしょうか。
海外赴任者にはとにかく「発信力」が最優先であることをご理解頂けたら嬉しいです。
発信力はあくまで自分の中にある情報から取り出すだけですので、取り出す訓練さえすればすぐにでもできるようになるのです。
日本人は学校での英語学習を長年行ってきましたから、英語学習というとすぐに、単語帳や分厚い文法書、やたら長い長文読解、ラジオを聞きまくるといったインプットの学習に流れがちです。
もちろんインプットを行うことは否定しません。
しかし、インプットの学習には終わりはなく、どこまでやっても自信は持てないのです。
それに海外転勤する方にそこまでのインプットは不要です。
それよりも時間が限られている中で効率的に海外転勤に必要な英語力を身に付けて、まずは海外転勤前に英語に関する不安を取り除いておくことが海外転勤後の生活を楽にしてくれることでしょう。
そのためにはまずは発信力の強化です。
どのように学習すればいいか知りたい方は下記のリンクを参照してください。
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