この記事にたどりついたということは海外転勤の辞令が出た方が多いと思います。会社というのは英語ができる人を海外転勤させるわけではなく、あくまで仕事ができる人を海外転勤させるものです。従って、「英語ができないのに何でオレが海外転勤しないといけないんだよ!?」って強く思われる方もいることでしょう。
そんな突然海外転勤が決まってあまり時間がない中で、少しでも英語を勉強して英語に対する不安を取り除いておきたい。
そんな方に海外転勤が決まってからの英語学習の始め方について解説したいと思います。
生活スタイルや志向に合わせて参考にしてみてください!
筆者紹介
・初めての海外転勤
・フィリピン在住
・USCPA(米国公認会計士)として会計事務所に5年以上勤務中(現在進行中)
海外転勤で必要な英語力(発信力7・受信力3)
海外転勤で必要な英語力はズバリ「発信力」です。
発信力とは自分から言いたいこと、相手に伝えたいことを英語で発する力のことで。英語学習においてはスピーキングとライティングがこれに当てはまります。
逆に受信力は相対的に重要度は下がります。なぜなら意識しなくても勝手に受信することが多いからです。
受信力とは自分の中に情報を取り入れることで、英語学習においてはリーディングとリスニングになります。
なぜ発信力の方がより大事かというと、日本の英語教育は明らかに受信力をメインに教育する仕組みになっているからです。皆さんも学校で英語を勉強されたことがある方であればお分かりだと思いますが、学校の英語の授業といえばひたすら教科書を読んだり、文法や単語を詰め込んだり、テープを聞いて質問に答えるなどの授業はほとんどの時間を占めていたのではないでしょうか。
これは日本の英語教育が古くから、海外の文献や論文を読めるようになること、という最終的に学者を育てるための教育をメインに敷いていたためと言われております。論文を読めるようになるためだ開けなら別に話す力はいらないですよね。その代わり、論文ともなればそれなりに難しい単語や難しい言い回し(文法を含む)をするものでsから、どうしても複雑な構成の文章を読めるようになる必要があるわけです。これができるようになるためにはとにかくハイレベルな単語、ハイレベルな文法が分かっていないと論文を読みこなすことさえできないわけです。この目標を達成するために学校という基礎を学ぶ場所においてはとにかく単語・文法・読解の3点セットを重視してきました。
このため日本人の方で高校や大学まで進学した方であれば人によって多少のばらつきはあるものの、海外転勤で必要となるベースの英語力はほぼ十分にあるか、少し訓練すれば思い出すレベルにはあると思います。ですから受信力を鍛えることは大事ではあるものの、あえてこの短期間で追加で学ばなければならないことはないと考えます。
海外転勤用の英語学習は発信力重視で学習
皆さんに思い出してもらいたいのですが、学校ではスピーキングやライティングなどの発信力を鍛える学習に関する授業は1週間のうちに何時間あったでしょうか。ほとんどなかったのではないでしょうか。
これは先程の英語教育の目的からすればそれほど重要ではなかったために、ほとんどの学生がこれらを体系的に学んでいません。これによって発信力が十分に備わっている教師が十分におらず、結果的に教える人がいないためこのスパイラルが繰り返されるわけです。
ですから日本人の方は受信力はそこそこあるものの、発信力は皆無であることが多いのです。
ところが海外転勤で必要な英語力は自分から発信して相手に自分の言いたいこと、伝えたいことを伝えて、納得してもらい、相手に行動を促して自分が満足のいく結果を得るという能力が絶対的に求められます。
ですから海外転勤者はこの「発信力」を絶対的に重視すべきです。
発信力重視の英語学習方法
発信力の重要性を理解頂けた上で、発信力を鍛える方法を紹介します。
【発信力その1】スピーキング
スピーキングとは自分の口から声を発して相手に情報を伝える行動を言います。
つまり、「声を出す」ということがポイントです。頭の中で考えてもダメです。必ず声に出してその声を自分で聞くことです。
これは日本人は本当に苦手です。日本語でも苦手ですので英語になったらペラペラ話せるようになるといったものではありませんので、絶対的に訓練が必要です。
訓練方法①:音読
訓練方法②:シャドーイング
訓練方法③:セリフの繰り返し
訓練方法④:自分の仕事を説明する
訓練方法⑤:会話
訓練方法①:音読
手持ちの英語テキストをひたすら声に出して読むことです。ここで大事なのは難しいテキストはNGです!目的は論文を読破することではありません。あくまで発信力を鍛えるための練習です。ですからできれば中学1~2年レベルで、短い日常会話程度がいいと思います。この方が確実に実践的ですし、繰り返しているとそのうち勝手に口から出てくるようになります。最終的には会話全体を暗記してしまうくらいまで読み込みましょう。朝起きてから10回、トイレの中で3回、お風呂の中で3回(暗記ができているか確認できます!)、寝る前に10回、といった感じでロボットのように繰り返すのがコツです。無心で読みまくりましょう。「こんなの何の意味があるんだ?」とか考えないで下さいね。言語習得は繰り返しが命です。繰り返すことでいつの間にか自分の言葉・表現として沁みついていきます。そのレベルを目指します。
訓練方法②:シャドーイング
シャドーイングは最近ちまたの書籍でよく見かけるようになりました。私が大学生の頃、通訳になりたくて一時期通訳学校に通っていたことがありますが、その時に知ったのがシャドーイングという学習方法です。これはプロの通訳者の方がよく行っているトレーニングです。これは流れてくる音声を聞き取って、聞き取れたところから順番にオウム返しを行うものです。つまり、ニュースで「今日の天気は・・・」と流れてきたら自分のすかさず「今日の天気は・・・」と追っかけて発します。つまり、聞きながら話すという作業を行うわけです。これは相手のペースで自分の話さないといけないので、話すスピードを相手に合わせることになりますので、相手の話すスピードが速ければ自分も早く話さなければならないので中々大変です。慣れるまでに苦労すると思いますが慣れてくると口が強制的に英語の口になってきます(?)。NHKの副音声やCNNなど題材は何でもOKです。これもできれば難しくない内容を選んだ方がいいでしょう。目的はあくまで発信力を鍛えることになりますので。これも例えばテレビを見始める開始5分は毎回シャドーイングするとか寝る前に5分だけやるとか、日常生活に組み入れていきましょう。
訓練方法③:セリフの繰り返し
映画やドラマなどのセリフを繰り返して発することです。これは私が好きな学習方法でした。私が映画を見ることが多いですが、映画のスクリプト(台本)が公開されていることがあります。映画は話すスピードが早く使っている単語も様々なので難易度は高いですが、スクリプトがあれば聞き取れなかったところがどういう発音をしているのか、その言い回しはどういう意味なのかなど辞書で調べながら学習できるので便利です。すると意外にもなんてことない英語だったりするのですが、ネイティブが発音するとこんな風に発信されるのか!こんな音に聞こえるのか!という新たな発見があり、それをそっくりマネすることでネイティブっぽい英語に近づいていきます。そもそも好きな映画や好きなドラマしか見なくていいですから楽しく学習できると思います。
私もこの方法で映画一本まるごと、ドラマのチャプター丸ごとを自然と暗記してしまい、道を歩いているときなど自分で全セリフを口に出して勝手に笑っていました。映画やドラマの英語はごく自然体の英語ですから英語学習用に作られていない分レベルは高いですが楽しく勉強するには最適です。
訓練方法④:自分の仕事を説明する
これはかなり実践的な練習方法です。というのも海外転勤になればこれがメインの仕事になると思うからです。私の場合で言えばフィリピンでスタッフ30名程の会社でマネジメントをやっていますが、クライアントはほぼ日系企業なのでどうしても「日本のやり方・作法」で仕事を進める必要があります。このため日本の仕事の進め方、日本人の考え方を説明しなければならない機会が多く、多くの駐在員も同じだと思います。工場であれば日本品質の製品を作るためにどういう手順で作ればいいなどこれは日本人が教えるしかありません。そこで自分の仕事を相手に伝えきるということが重要になってきます。ですからその練習に今の自分の仕事を相手に伝えるつもりで英語で伝える演習をするということです。
ここで注意して頂きたいのは難しい表現は不要ということです。むしろ難しい表現をしてしまうと相手が理解できない可能性もあります。ですから日本語から英語に翻訳するのではなく、自分の言葉できちんと「説明する」という意識で行うことがポイントです。私も同じ経験をしましたが、難しく細かく説明しても相手は理解できません。短く、シンプルに、分かりやすい単語を使って相手に伝わるように説明することです。
訓練方法⑤:会話
英語で会話ができる機会があるなら積極的に活用しましょう。ただ、私が思うに日常会話の英語力と仕事で必要な英語力は全然違うと認識しています。日常会話はその場が楽しければOKで、別にお互いが何か同意しなければならないわけではないし、言いたいことを言い合っていればいいので、そういう意味では楽ですが、会話の中身における目的がない分場合によっては効果が薄いです。
海外転勤者に求められる英語力は自分の言いたいこと・伝えたいことを相手に伝え、相手に理解してもらい、さらに相手に行動させてかつ自分が満足のいく結果を出してもらうところまで到達しなければならないからです。ここまでできて始めて発信力と言えますのでこの意識で会話の練習をすることを心掛けてください。もちろん単純に英語の口・英語脳に慣れるという目的でしたら日常会話の練習でも十分効果は期待できます。
【発信力その2】ライティング
海外転勤者にとって必要な発信力その2としてはライティング力があります。
しかし、ライティング力というほど大そうな英語力は不要と考えています。なぜなら海外転勤者が英語で論文を書くような機会はほぼないからです。
海外転勤者は海外転勤者なりの目的を持って会社から指示を受けています。それは大抵の場合「会社を回すこと・滞りなく運営すること」にあります。
このような大目的のために派遣されているのは海外転勤者ですから、これを達成することを主眼に置いた場合はそのライティング力というのは、「メールを書く」という能力に絞っていいと思います。
私もフィリピンで既に5年以上働いていますが、基本的にライティング力はメールのみで十分です。私自身は米国公認会計士・米国税理士として仕事しているのでそれなりに難しい文章を書かなければならないこともありますけど、その場合は全てスタッフに任せて書いてもらいます。どう考えても私が書くよりも正確で早くてきれいな英語の文章を書いてくれます。ただし、内容は私が決めます、「こんな内容の文章をかっこよく書いてほしい!」って伝えるとそれらをおr混んだそれなりの文章を仕上げてくれるというわけです。
そうなんです、別に自分で書かなくていいんです。得意な人に書いてもらえばいいのです。ただし、丸投げではなく、何を書くか、どういう内容は含めてほしいのかは私から指示します。この指示を英語でできれば十分です。スピーキングと同じく長い文章は不要です。箇条書きで、シンプルな言い回しで、短く要点だけ書けばOKです。
なぜなら目的は長い文章を書くことではなく、あくまでカッコいい文章になにを詰め込んでほしいのかが伝わればいいからです。逆にそれ以上の情報を相手に与える必要はありません。
メールでシンプルに短く伝えるということであれば、それほど神経質にならなくても大丈夫です。
できるところからコツコツと!英語学習の始め方
英語学習の始め方と書いておりますが、正直机に座って辞書を片手にがり勉!っていう勉強は不要です。しかも、そもそも社会人の方でしかもこれから海外転勤をしようとされる方であれば机に座って作業するような時間はほとんど取れないでしょうし、そもそもそんな時間があるなら別のことを進めたいはずですよね。ですから、学習時間を設けるというよりは、スキマ時間、ついでの時間を活用してそこに強制的に押し込むのがいいでしょう。
例えば、
トイレの時間→5分くらいは座ってますよね?5分もあればドラマのセリフの繰り返しはできるはずです。
お風呂の時間→お風呂の中で新聞は読みせんね?ではその時間を発信の練習にしましょう。誰も聞いてませんので恥ずかしがらないで大丈夫です。
家から駅までに歩いている時間→歩きながらスマホをやっている方はこれから歩きながら自分の仕事について説明してみましょう。10分なら10分間で仕事の説明をしてみるプレゼンの練習ですね。
寝る前→ベッドに入ったら寝るまでの5分間さらにセリフを言ってから寝るようにしましょう。夢の中で英語を発信しているかもしれません。
このように実は英語の発信力を鍛えられる時間というのは細切れで存在します。上記の例では確実に1日1回は通過している時間ですよね?必ず通過するのですからこれを使わない手はありません。
「一人では心配だ・・・」という方は外部のサービスを使って誰かに背中を押してもらうのも一つです。これならサボれなくなりますからより効果は高いでしょう。海外転勤までの数か月間だけですから気合を入れて頑張ってください!
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まとめ:発信力を鍛えて海外転勤を乗り切ってください!
いかがでしたでしょうか。発信力とはいっても難しいことではありません。自分の伝えたいことが相手に伝わって結果が出ればいいわけです。その手段に過ぎないという大前提を抑えてておけば英語のフレーズや単語などは大した問題ではないことに気が付くと思います。折角海外転勤者に選ばれたのですから積極的に楽しい海外生活にしていきましょう!そのためにも今から海外転勤日までの間にできることは何でもしておくことをお勧めします。後悔先に立たずです。応援しています!
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