USCPA(米国公認会計士)合格後に転職を考えている方も多いと思います。
USCPAはアメリカの公認会計士の資格ですから、USCPA合格後の進路として公認会計士の資格を活かしたいという理由で、監査法人に進む道があります。
私は現在フィリピンでUSCPAとして働いていますが、仕事上、監査法人での監査業務の経験はあったらよかったけど、なくてもなんとかなっている、というのが実態です。
監査法人の業務はとても勉強にはなりますが、とても大変な仕事です。
ご自身の将来像をみすえながらUSCPA合格後の進路を考えて頂ければと思います。
【結論】日本の公認会計士の資格がなく、USCPAのみの場合は転職先の監査法人はつらいです。
USCPA合格後の進路として、監査法人に転職する方は多くいます。
監査法人によって行われる監査業務というのは、公認会計士の独占業務で、公認会計士しかできない仕事なので、監査業務を仕事にしたいのであれば公認会計士の資格が必要になります。
ただし、日本にある監査法人に転職した場合、USCPAは監査業務に責任を持つことができません。
なぜなら、日本での監査業務は”日本の”公認会計士にしか認められていないからです。
いくらUSCPAが優秀でどんどん昇進したとしても日本の公認会計士でなければトップにはなれないのです。
USCPAはあくまで日本の公認会計士のサポート業務のみとなります。
簡単に言えば、USCPAはどこまで行っても下働きなんです。
下働きのレベルが上がっていくだけということです。
ですから、日本の監査法人でトップにまで上り詰めたいという方は、ぜひ日本の公認会計士の資格を取得しましょう。
監査法人での仕事は甘くはありません。
日本の国から特権を与えられている資格ですから、国家資格保有者なりの責任を伴います。
そのため仕事はとてもハードですし、みんなが休んで遊んでいるゴールデンウイークなど寝る時間もままならないほど忙しいです。
私は今はフィリピンでUSCPAとしてコンサルティングの仕事をしていますが、その前は日本の上場企業の経理部で決算業務の担当をしていたので、監査法人とは付き合いがありました。
日本の会社の多くは3月決算ですが、3月決算の場合は、5月10日が報告書の提出期限だったので、毎年5月頭は”追い込み時期”でゴールデンウイーク中は一日も休みはありませんでした。
そこに監査法人の先生方も会社に来ていました。
休みの日なのに、朝から晩まで(夜11時とか!)仕事としていました。
監査法人は監査法人のオフィスで仕事をするよりも、クライアントの職場で仕事をすることが多いのです。
なぜなら監査を行うためには、会社が作成した資料を直接確認する必要があるため、クライアントの会議室を2ヶ月くらい占領してず~っと会議室こもって作業するのです。
そして、資料を確認している中で疑問点等があれば、クライアントの担当者のところまできて質問するのです。
こんな調子なので、2ヶ月くらい毎日顔を合わせるのですから、彼らの仕事ぶりもよく分かりました。
年齢が近い先生も多かったので、仕事以外の雑談や仕事の大変さも聞いていましたから、自分も監査法人で働いている感じがするくらいです。
ゴールデンウイーク期間中の出勤は本当につらかった・・・。
電車に乗れば親子連れが遊園地に出かけるのかとても楽しそうな様子でいるわけです。
それにひきかえこちらは、4月中は毎日夜12時とか夜中の1時まで残業し、月間残業時間は軽く150時間は超えている。
そんな中で5月ともなれば気が付いたら意識を失って寝てしまうような状態だたので、精神的にもつらい時期でした。
そしてすでにフラフラで意識がもうろうとしているのに、5月10日の直前3日間くらいは徹夜ということもありました。
クライアントの立場でこんなにつらかったですから、きっと監査法人で働いている先生方はもっと大変だったことでしょう。
毎日会議室の鍵を閉めに行くのですが、当たり前ですが監査法人の先生が帰らなければ私が帰れないのです。
さすがに夜の12時を過ぎても帰らない時は、会議室の前まで行って、「ホタルの光」を歌って”閉店の時間”であることを知らせるくらいでした。
こちらは終電ってものがあります。駅までダッシュで行かないと帰ることすらできないわけです。
まああえなく電車に間に合わず帰れなくなって、そのままカプセルホテルに行って一夜を過ごすことは何度もありました。
そんな中、監査法人の先生方は会社の前でタクシーを拾って、さっそうと帰っていきました。
あ~きっとうちの会社が払う監査報酬の経費に付けてるんだろうなあとか考えながら、カプセルホテルに行く前にビール中ジョッキを一気飲みして、松屋で牛丼をかき込んで倒れるように寝ていたことを今でも思い出します。
私がUSCPA合格後に監査法人に行かなかったのはそのつらさを知っていたからというのもありますね。。。
本当に見てて気の毒になるくらいでしたから。
だから逆に監査法人に勤務している方々はすごいですよ!
頭がいいのはみんな同じですが(日本の公認会計士に合格してますからね)、なにより体力と精神力がすごいです。
頭がいいだけでは決して務まらないのが監査法人です。
【理由】USCPAは肩身が狭いから
監査法人での仕事はつらいです。
大変です。
それは私が経理部にいた10年弱の間で、Big4と呼ばれている国際的監査法人のうち、DeloitteとPwCの2社からの監査を受けていた体験からも明らかでした。
DeloitteもPwCもBig4ではあるものの、会社の性格というか中で働いている公認会計士の先生方の性格というか、それらは全然違うものでしたね。
どこでもそうだと思いますが、会社のカラーというのはあるようです。
ですから自分のカラーに合うチームに恵まれればいいですけど、全然肌に合わないチームだと大変でしょうね。
監査法人にもよるとは思いますが、私がお世話になっていたDeloitteやPwCでは、確か業種でチーム分けされていたと思います。
確かに業種ごとにビジネスの特徴が違いますし、それによって会計処理、税務処理が変わるので、同じような業種の会社であれば大体同じような処理になるはずですから、仕事での応用が効くので効率がいいのだとは思います。
日本の監査法人で働く場合、日本の公認会計士にしか最終権限はないですから、USCPAは日本の公認会計士のサポート役に回ることになります。
また、USCPAは日本の会計、税務、その他必要な内容は学んでませんから当然ながら日本での監査業務に必要な知識は備えていないことになります。
これはUSCPAが頭が良いとか悪いとか、できるとかできないとかいう以前に勉強してきた内容が違うのですからしょうがないことです。
しかしながら、日本の会社の監査を行う場合は日本のルールに基づいて監査をしなければなりませんから、日本のルールを学んでいないUSCPAはコアな仕事はできないのです。
日本のルールへの深い理解が必要ではない仕事など、USCPAで学んだ知識が生かせる業務もありますから、そういう部分では積極的にお手伝いすることはできます。
USCPAに合格すると気が付きますが、まずはBig4と呼ばれる監査法人から転職の誘いがきます。
USCPAの実力が分かっていながら誘ってくるのですから、よっぽど人が足りないのでしょう。
監査業務は多くの人手が必要ですからUSCPAであってもその手足は欲しいようです。
ですので、積極的にUSCPAとして監査業務に携わりたい、経験してみたいという方は監査法人に転職するのはアリと思います。
少なくとも監査という仕事を体験できますからキャリアという意味では大きな意味があります。
肩身が狭くても経験値が得られるならそれでよいということであれば監査法人は転職先としてはオススメです。
何より幅広いクライアントを目の前で、しかもその中身(どれだけ財産を持っているのか、儲かっているのかなど)までのぞけるのですから世の中広しといえどもそんな会社はないでしょう。
監査法人に行ってキャリアに傷がつくこともありません。
経験値アップには最高です。
一度に色々な会社をみれるのは監査法人の特権でしょう。守秘義務がありますからペラペラ他の人にしゃべったりできないのは当然ですが、自分自身の経験値としては非常に影響が大きいです。
隣の芝が青く見える人や青い鳥を探している若者には持って来いの職場です。
ただし、仕事はスーパー大変そうですけどね・・・。
まあそれはトレードオフなんでしょうがないっす!
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それでも監査業務経験は大事です。必要なら飛び込みましょう!
監査法人は大変だという話ばかりしましたが、そうは言っても監査業務の経験というのはとても大事になります。
私自身は事業会社からコンサルティング会社へ転職しました。
私が転職したコンサルティング会社は会計や税務を中心に取り扱うコンサルティング会社なので、社員は会計士や税理士ばかりです。
まあ私も一応USCPAなので、はたから見たら会計士に分類されているわけですが、やはり彼らとは決定的に違うことがあります。
それが「監査経験」なのです。
そう言う私も今の会社に入社して仕事を始めるまで監査経験の重要性には気が付いていませんでした。
監査経験の重要性に気が付いたのは、コンサルティング会社でたまに回ってくる中の仕事に、デューデリジェンス業務(Due Diligence)という業務があります。
これはその土地に進出する、マーケットに参入する際、普通は新しく会社を作って、人を雇って、物を買って、必要なモノを取り揃えてから営業して顧客を獲得して会社を運営していくことになりますが、これには相当な時間がかかるのです。
何もないところからビジネスを育てるのですから何となく想像はつくと思います。
しかし、最近ではそのような時間をかけて会社を育てていてはビジネスチャンスを失ってしまうこともありますので、そんなに時間を掛けられないわけです。
その場合に既にその土地、マーケットである程度事業を行っている会社を買ってしまうことがあります。
会社を買うと言っても、会社には人や物、技術があるわけです。
今までの歴史もあります。
それらが本当にあるのか、ちゃんと法律を守ってビジネスをしているのかなどいろんな観点からその会社をチェックしたくなりますよね。
会社を買った後に、とんでもない借金があったとか、税金を全然払ってなかったとかそんなことが分かったら大変です。
ですから、買う側としては会社を買う前にちゃんと調べたいと思うはずです。
この会社の中身をプロの視点でチェックし、報告する業務のことをデューデリジェンス業務(Due Diligence)といいます。
実はこの業務、監査の経験があるのとないのとでは大きな違いが出ます。
監査の経験をしている場合、年がら年中企業の財務諸表を見たり、その会社に張り付いて会社の空気そのものをチェックしたりしています。
実はこの経験によって、「怪しい部分」や「なんか匂う部分」という直感みたいなものが磨かれるようなんです。
これによって、デューデリジェンス業務(Due Diligence)を行っても、「目の付け所」というものが分かり、非常に大事な部分を発見できたり、的確な指摘ができたりするのです。
私もデューデリジェンス業務(Due Diligence)に携わることがありますが、監査の経験がないため、デューデリジェンス業務(Due Diligence)は毎回苦労します。
また、内部監査の仕事や内部統制構築などの仕事もコンサルティング会社にはあります。
これらも監査の経験が生きるようです。
ですから、監査の経験というのはその後いろいろな業務で通用しますので、やっておいて損はないと思いますし、あとで意外なところで重宝するかもしれないですよ。
監査法人に就職する利点(おまけ:💰)
仕事の幅が広がる、いろんな会社を同時に見れる、USCPAで飛び込むと下働きの経験ができる、などなど、こういった特徴の他にもう一点世俗的な観点からすれば、「監査法人は給料がいい」ことが挙げられます。
これは大手企業に比べて福利厚生が充実していない反面、給料に上乗せされているためだと監査法人出身の同僚に聞きました。
つまり、大企業ですと、レジャー施設の代金が半額になったり、○○手当があったりと、手取りの給料以外でのベネフィットが充実していることで、総合的なライフスタイルとしては充実した生活が送れるというものです。
ところが、監査法人ではそういった福利厚生があまり充実していない反面、その分給料が高く設定されているということで、20代でも軽く1,000万円を超える人はざらです。
もちろん前段の激務があってのことなので、ずっと続けることは厳しいかもしれませんが、期間限定で武者修行のために就職するということはアリかと思います。
Big4に在籍していた同僚の話では、お金はもらえるけど使う時間がないから悲しいと言ってました。
やっぱりバランスって大事ですよねえ~。
まとめ:監査法人に飛び込むかどうかは将来の進路と相談して決めよう!
監査法人での経験は良い面も悪い面もあります。
自分の将来と照らし合わせて監査法人に行くかどうか決めてもらえたらと思います。
まだ将来の方向性が定まっていないようであれば、監査法人はオススメです。
いろんな会社を同時に見れることで自分の視野も広がるでしょうから利点は大きいです。
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